人魚姫
突発的に思いついたお話。短い上にオチが想像しやすいです。まぁ軽い気持ちで読んじゃってください。
あるところに、『人魚姫』と呼ばれる美しい魚の女の子がいた。
人魚姫は、お友達のチョウチンアンコウやダイオウイカから毎日のように綺麗だ、美しいと褒められ、この世界で自分以上に美しい者は居ないと思うようになっていた。
「さあ、この世で最も美しいものはなぁに?」
そう尋ねると、皆人魚姫が一番美しいと答えてくれる。そんな日々に満足していたある日のことだった。とある一匹の魚が、人魚姫の問いかけにこう答えた。
「この世で最も美しいもの、それは『太陽』さ。こんな暗い海の底じゃあ、目の悪い俺にはアンタの美しさはよく分からない。でも、『太陽』の光はそんな俺の目にもとっても綺麗に見える。アンタにゃ悪いが、勝負にならないよ」
そんなことを言われたのは産まれて初めてだったので、人魚姫は思わず怒鳴り散らしてその魚を追っ払ってしまった。しかし、少し時間が経って頭が冷えると、今度はその『太陽』がどんなに美しいのか、実際に見て確かめてみたいと思うようになった。勿論、自分が美しさで負けるとは全く思っていない。
人魚姫は『太陽』を見るために住処を離れることを決めた。そうと決めた人魚姫の行動は早く、たくさんのボーイフレンドに見送られ、人魚姫は笑顔で旅立つ。
『太陽』がある場所は、サメ長老から聞いた。とにかく上へ上へと泳いでいけば、『太陽』を見ることが出来るはずだと言われた。
上へ、上へ、上へ。こんなに長い時間泳いだことはなかったから、人魚姫の体力はもう限界に近かった。しかし、ちょっと一休みしようと岩場に身を寄せたその時、頭上から一筋の光が差し込むのが見えた。
間違いない、これが『太陽』の光だ。人魚姫はさっきまで感じていた疲労もどこへやら、その光の美しさと暖かさに魅了され、再び上へ上へと泳ぎ始めた。
たったこれだけの光でこんなにも美しいのだ。上へと進むごとにますます太く、大きくなっていく光の柱に、人魚姫は興奮で胸がはち切れそうな思いだった。
その光を見て、人魚姫は悟った。自分は、この光の下で輝くべきなのだと。この世で最も美しい人魚姫に、それを照らす美しい太陽の光。なんて素敵な組み合わせなのだろうか。
期待で胸が膨らむ。心臓がバクバクと激しく音を立てる。血液が激しく全身を巡る。
そして、ついに海の上へと飛び出た人魚姫は、驚きと喜びのあまり目が飛び出たのだった。
〇〇〇〇〇
「よーし、今日も大漁大漁!! うん? なんだこれ。うわっ!? こいつ目が飛び出てやがるぞ!? 内蔵も破裂してるし⋯⋯。うへぇ、やっぱり深海魚ってのは気持ち悪いな。食べても美味しくないし、捨てちまうか」




