表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

幼女はこなした


「このプリンで最後だよ!イチミ」

「うん」


私はまるで、わんこそばを提供する蕎麦屋の店員のようだった。

次から次へと、食品をイチミに手渡していくと、イチミはどれもペロリと平らげた。

あまりの食いっぷりの良さに、私は快感を覚えた。


「けぷ」


プリンを食べ終えると、イチミは小さなげっぷをした。


「どう、イチミ。帰れそう?」

「うーん」

「どう、どう?」

「うーん」


イチミは唸るばかりで、ちゃんと答えてくれない。

これは、どうやら駄目そうである。


「困った」


満足そうな顔でそう言うので、そうは見えない。



「ニンゲンのごはん。おいしい」

「それはよかった。因みに普段は何を食べてるの?」

「美味しい空気とか」

「それって食べ物なの?」



さすがは妖精だ。想像外の営みである。

イチミは何か思いついた顔になった。



「シチミお姉ちゃんが、この前へんな顔でいってた。【こなすことと、うまくこなすことはちがう】って」

「ほうほう。まあ、それはそうかな」

「わたし、こなしてるだけで、うまくこなせてないのかも」

「なるほど」


シチミちゃんとやらは、なかなかいい事を仰る。

以上の名言を今回の件に当てはめるなら、もっとちゃんと私が大好きなものを食べさせるべきかもしれない。


時刻は深夜1時。

この時間から、空いてる店といえば……




「よし、イチミ。ファミレスにいくわよ」

「ふぁみれす……?」

「うん。そこにいけば、もっと私が大好物なものが沢山あるわ」

「おお。それはいいこと」



酔いも冷めてきて、体は怠くて頭は眠気で一杯だ。

しかし、幼女が困っている。

助けざるを得ない



「さあさあ、立ちなさいイチミ。この世の食のすべてを貴女に与えましょう」

「おー、かっこいい」

「出発進行ーー」

「ねえねえ」


イチミが私の服の袖を引っ張る。



「そういえば、貴女。おなまえをきいてない」

「名前?あー、そういえば言ってなかったかも」

「わたしだけおしえてフェアじゃないわ」

「えーっと、私の名前は 兜橋 さらさ。 さーちゃんでいいよ」

「さーちゃん……わかった」















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ