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ヴァナルガンド  作者: 東条のカレーライス
3/6

2-1

元のタイトル

【 マジカル人狼!

★キュアリンリン★

〜世界に眠る七つの不思議〜】


流石にララルゥ並に無口にしたらいかんざき



「母上!母上!!」

豊満な胸に顔を埋めている筈なのに感触がない。寧ろ壁に頬擦りしているような感じさえある。少年は上目遣いで見てみる。


「はは……うえ?」




リュション ・ヴォレ・ルージュ


(ルージュ)の里。その里を支配するヴォレ家。跡取り息子リュション 。



……凛とした上品な顔立ちをしている少女だ。乙女色の着流し、紅梅色の帯締め、藍鉄色の股袴、青藍と薄花色の袖がない羽織を身に纏っている。髪を二つに分け、それぞれを大きな二つの輪にして後頭部で一つに纏め上げて根元を細幅の白い絹でしっかりと結わえ、そして頬に垂れる髪を桃の絹で装飾している。切り揃えられた前髪から時折見える眉毛が美しい。

「「?」」

少女は首を傾げる。二人は暫し





「……そうか。母様は逝かれたのか」





「泣いてはいけないと言われた」

「何故」

「帝の影武者であるから」

「……」

「姿形は似せても声だけは真似が出来なかった」


「見た仲間達


「涙が止め処なく溢れ出る」


「やっと自由になれたのだと……」

「……自立せざる得なくなった





男は居なかった

烏が居た

光る





「母上ッ」

「……」

少年は少女の胸元に顔を埋めた。

「申し訳ありません!里を……民を護れず生き延びてしまった自分


「母上……!母上……!!」

同い年の少女を

少女は何も言わず


「……」


「草花の匂いが煩わしい……!友達と

土の匂いが煩わしい……!作物を

水の匂いが煩わしい……!

肉の匂いが……!野菜の匂いが……!」


「……」


「生きたくありませんでした!母上達と共に逝きたかった……!例え誰にも思い出されなくとも


私だけがそれを



「うわあああああっ!」


泣き噦る少年に対し少女は物言わずひたすらに頭を撫でていた。



×××

山岳にひっそりと存在していた。



タンタンタン……ルージュは凍える渓谷の岩に腰を下ろし手持ちの包丁で料理を作っている。既に数品は造り木の皿に盛り付けてある。小皿にたくあん……小鉢に小魚の佃煮。窯で炊いた米はお焦げがついており、それを木の茶碗に装う。そして今しがた採った新鮮な小型化兎ミニマム・ラビットの肉を枝に突き刺し焚き火で炙る。そして最後の一品は氷漬けになっている魚を細かく刻み、叩き鱠にしたなめろうの完成だ。荷袋から酒樽を取り出す事で夕食の準備は整う。……そして夜になった事で今までとは違った光景が見られるようになる。何と大小様々な粒子が忽然と現れ空へと昇り始めた。一粒一粒が魂でありそれらは地平線の彼方まで続いている。これは世界各地に見られ別段珍しくともない光景だ。夜に獣が死ぬと骸から魂が離れ天に昇りそして立ち昇っている所に赴くと死んだばかりの死骸を見つける事が出来る。

「夜飢えた時は雲を見よ。これ世界の常識」













「何でこんな辺境の地まで彼等の遺跡が……?」

この場所は遺跡と言うよりも独房と言った所だろう。

「魔の三角海域(バミューダトライアングル)の考える事を理解しろというだけ無理がある」





この遺跡はとあるカルト教団の所有物だった。彼等のシンボルは三角白頭巾でかつて世界を圧巻した巨大宗教の最大宗派と呼ばれる者達だった。今は派閥争いに敗れ権力を譲り渡した事で地下に潜ったとされ、世界に散らばる遺跡は時代を経て盗掘の対象へと変貌した。そんな彼等は陰の光が『満開』の日に際し生贄を捧げたとされた。それがこの遺跡では人狼(ヴェアウルフ)だっただけの話だ。実は彼等は凍らせる事でしか保存出来ない有機物を常温のままに腐らせないようにする技術を持っていたと言われる。

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