Day02 俺と美少女たちと学校青春 二
俺が向かったのは学校の隅っこにある小さな部屋。大きい教室が多いうちの学校にしては珍しいサイズ。ドアには『科学部』とだけ書かれた貧相な看板がかけられている。鍵が開いていることを確認して 失礼しまーす
とドアを開けると中には先客がいた。
「やっほー、錦。あら?今日も一人なのかしら。」
「うるさいですね。ただ空気を読んだだけです。そういう桜庭先輩だって一人じゃないですか。」
ぶっきらぼうに答える俺に にゃはは といたずらっぽく笑う。この人は 桜庭 綾花。一つ上で俺と同じ科学部の部長。ショートヘアでかわいい雰囲気の徳永さんやポニーテールでしっかりとした雰囲気の笹原さんとは違ってロングヘアで大人っぽいというか艶っぽい雰囲気の美人だ。何と言っても胸が大きい。二人が小さいと言うわけでは無いがそれが少し劣って見えるぐらい大きいのだ。周囲の人間からは「マジメで上品」だとか「頼れるお姉さん」などと言われてるが俺は知っている。この人は俺と二人きりだとからかったり、だらだらしたりと話とは真逆だ。普段は周りの目に気を使っている分二人きりの時の気の抜け方が凄い。まぁ、信頼されてるからの態度なのだろう。仕方ないとわりきってこうして付き合っている訳だ。
「私は錦と二人きりになりたいからここに来てるの」そろそろと俺に近寄る。
「はいはい、そーで…って何するんですか!」桜庭先輩が俺に体をくっつけてくる。おかけで胸が当たる。気持ちいい、ではなく。 ちょ、ちょっと何してるんですか! 急いでその場から飛び退く。心臓がバクバクいってる。「なに?照れてるの?」ニマニマと笑いながら言ってくる。「男子から言い寄られるの面倒だなぁ、とか言ってる割に他の男子にもそうやってるですか?」俺は椅子に腰掛けながらそう皮肉っぽく言うとまたすり寄って来て「こんなことするのは錦だけ」と耳元で囁いてきた。ふぁっ と変な声をあげて椅子から転げ落ちる。
それを見た桜庭先輩は 顔真っ赤じゃん!かわいい~ と大爆笑。
「そんな事言ってると本気にしますよ!?」
「別に良いわよ~、それにしても ふぁっ だって。ぷぷ。」
全く何処まで冗談なのか、油断も隙もあったもんじゃない。気を取り直して伝えるべき用件を話す。
「今日はバイト入ってるんで部活行けません。」
「えぇ~!イジリ相手がいなくてつまんないじゃない!」
ぶー っと口を尖らして拗ねる。こういう時の表情は凄くかわいらしいというか、綺麗だ。しかしすぐにわかったわ と答えた。その後はしゃべりながら笹原さんの作ってくれたお弁当を食べた。気づくと予鈴がなっていた。んじゃ、そういうことで と言って教室へと戻った。午後の授業中は徳永さんの方を見ていたら目が合ってしまい、つい目を反らしてしまった。帰りの挨拶も済んで哲に 今日バイトあるから一緒に帰れん と告げ学校を出た。俺のバイト先はファミレスだ。俺の住んでいる町にはバイト先になるものは色々あるが学校と家の間ぐらいの位置にあってなおかつバイト代がいいのでここで働いている。裏口から こんちわ~ と入り制服に着替え店内にくり出す。俺の主な仕事は接客だ、たまに厨房に入ったりもする。一人暮らしで自炊していたから料理は出来るがメインの接客の方はあまり得意ではない。顔見知りでない人間と話すとどうしてもしどろもどろになってしまう。どうして合格したかは分からないがこの際どうでもいい。店長には もう少し接客頑張ろうね とよく言われている。ともあれそんな事を言っていてもきりが無いので接客の仕事を頑張る。奮闘していると新たに一人が店内に入ってきた。「由井さんか、今日も宜しく。」話かけるがコクっと頷くだけで去っていく。彼女は土門由井。一つ年下のショートヘアで物静かな美少女。俺の背は学年ではあまり高くない方だが彼女はさらに俺より小さい。大体俺の目と同じくらいの背丈だ。胸は悲しいかな、あまりない。バイトも同じで学校も同じなのにあまり喋らない。嫌われているのだろうか?返事をされなかった事にはもう馴れたがそれでも少しショックを受けながら、仕事に戻る。仕事中も全く喋らないままあがる時間になってしまった。服を着替え店を出ようとすると由井さんとすれ違った。 お疲れさま と声をかけるがスルーされてしまった。店の外は既に真っ暗だった。俺は笹原さんが待つ家へといそいそと戻って行くのであった。
前回に引き続き読んでくださってありがとうございます!
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