Day01 俺とメイドと予知能力 二
俺は男に近づいて一言。
「あの~おじさん、何やってるんですか?」
すると男は俺の方をふりかえってきた。
「あ?何だ、お前?俺が何しようが俺の勝手だろうが。餓鬼が調子に乗るんじゃねぇ。」
そう言うと少女の方に向き直って、なぁ良いだろ~、少しだけだからさぁなどと言っている。
だから嫌ですって… 少女はそう答えながら逃げるようとするが男は逃がそうとしない。
「嫌がってるじゃないですか!止めて下さい!」
俺は流石に怒って少し声をあらげながら男の肩を掴んだ。
「おい、餓鬼。調子乗るなって言ったよな?一発食らわないと分からないのか?」
そういって俺の手を払いのけ殴りかかってきた。だが俺も伊達に鍛えられてきた訳じゃない。
「後悔しても知りませんからね。」
殴りかかってきた手をひらりと避け反動でよろけた男の顔面に拳を入れた。うっ と呻きながら倒れた男を尻目に少女の元に寄った。
「大丈夫ですか?今は軽く気絶しているだけなのでまたいつ襲って来るか分かりません。
早くここを移動しましょう。」
少女は解放された安堵かその場にへなへなと座りこんでしまった。しかしそんなことをしている時間はない。さぁはやく。 そう促すも少女はまだ動かない。俺を少し警戒している様に見える。そうこうしてると男が気づいたのか少し動き始めた。マズイ、早くしなければ。
「俺を信用しろ!行くぞ!」
俺はそう言い放ち、手を突き出す。少女は少しは信用してくれたのだろう。コクコクと頷くと俺の手をとった。それを確認すると少女の手をしっかりと握りしめその場から駆け出した。5分ぐらいだろうか、俺は少女とともに自宅までやってきた。そこでふと俺は気がついた。
(俺を信用しろ?そんな漫画っぽい台詞を言ったのか、俺。うわぁぁ、恥ずかしい。)
顔を赤くして悶えている俺に少女が口を開いた。
「助けて頂いてありがとうございました。何とお礼すればいいのか…」
「気にしないで下さい。そんな事より手、繋いでしまってすみません。突然の事だったのでつい…」
「いえ、お気になさらず。」少女は柔らかく笑った。ついドキドキしてしまう。
「メ、メイド服を着ているって事はメイドさんですよね?何処で働いてるんですか?そこまで送りしますよ。」
そう質問したとき、ふっと雲に月が隠れた。
「私には帰る場所など、ございません。」
前話に引き続き読んで頂いた方、ありがとうございます!
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