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イケメンに告白されたけど会議中

 生徒会。学校によってその規模や影響力は変わってくるだろうが、うちの学校は生徒会の権限がかなり強い。

 いや、強いというよりは広いのかもしれない。文化祭、体育祭等の運営に教師があまり口を出さず、生徒の自主性に任せているのも大きい。


 で、体育祭は既に終わっているけど、二学期の行事にはまだ文化祭というビッグイベントが残っている。

 後期生徒会は選任されたばかりの状態でそれに臨まねばならず、生徒会長の手腕が問われる状況だ。

 ……そんな大事を俺が捌けるとは思えないんだけど。


「別に古雅さんが一人でやるわけじゃないし、考えすぎだと思うけど」

「そうかな?」


 放課後。何故か俺は委員長や女子数人と共に、生徒会選挙にむけての話し合いをしていた。

 男子はいない。というか俺が女装趣味だと知られてからは、微妙に距離をとられている。

 逆に女子が異様に俺に構うようになった。……解せぬ。


「まず古雅くんが立候補したとして、支持層がどう別れるのかなんだけど」

「まず女装否定派という常識の壁にぶつかると思うんだけど」

「可愛いから大丈夫」

「何が大丈夫なのか分からない!?」


 可愛ければ女装って無条件で許されるの!?

 もしそうなら俺の今までの苦労は何!?


「まあ実際大丈夫だと思うよ。綾月先輩と九重先輩だけで女子の半数以上が掌握できるし」

「男子どこ行った?」

「九重先輩のファンの男子が味方すると思う?」


 思いません。むしろ闇討ちに来かねない。


「ん? 綾月先輩のファンは俺に反発しないの?」

「大丈夫。うちのクラスのファンも、古雅くんのメイド姿に陥落されたから」

「なんでやねん」


 思わず冷静につっこんだ。しかし確かに俺に舌打ちしてた女子が、最近は普通に話しかけてきている。

 綾月先輩のファンの心理が分からない。一部の貴腐人ならともかく、何故に俺が女装すると敵性勢力が味方になるのか。


「というわけで、生徒会選挙では古雅くんの女装を見せつけることが勝利の鍵になります」

「なんでやねん」


 再びつっこんだ。

 おまえそれ俺に女装させたいだけだろ。俺に女装させるためにてきとーこいてるだろ。


「うん」

「あっさりと!?」


 あれ? 何か委員長のキャラ変わってない? 俺を弄んで楽しんでない?


「でも女装をさらした方が良いのは本当だよ。今のままじゃ女装否定派はそのまま、だけど実際に古雅くんの女装を見れば何割かは『ありだな』って思うから」

「……これ以上否定派は増えないから攻めていけと?」


 一理ある……のかな?

 問題は学校で女装がどこまで許されるかだけど。


「んー、僕はあんまりお勧めしないかな」

「俺の後ろに立つな!」

「ゴルゴッ!?」


 いつの間にか背後に接近していた綾月先輩に、座っていた椅子をぶつけつつ回転肘うちを叩き込む。

 やりすぎかもしれないけど、自分を狙っているホモに背後をとられた俺の恐怖も分かってほしい。むしろ分かれ。


「ふふ……愛が痛い」


 愛は(略)気のせいだ。だから早く立ち上がれ綾月先輩。


「それで、お勧めしないというのは何でですか?」

「ああ。実は僕の取り巻きだった子たちが、最近また僕に寄ってくるようになったね」

「おめでとうございます。これを期に彼女でも作ってください」

「そうだね。付き合おうかリョウちゃん」

「俺は男だ!」


 踏み込むと同時に山突きを叩き込む。

 山突きというのは、両手で腹部と頭部を同時に攻撃する、実戦的すぎて試合では使われない技だよ☆


「ふ。照れなくても」


 そしてそんな実戦的な技をくらっても、ケロリと起きてくる綾月先輩。

 どうなってんのこの人。スキル欄に「物理吸収マゾ」でも入ってんの。


「それで女の子たちが戻ってきた理由なんだけどね。無駄に気位が高くて自己中心的な彼女たちは、悩んだ末に僕の告白を冗談だったと処理したみたいなんだ」


 そりゃそうだろう。仮に綾月先輩が「女の子を引き離すための嘘でした」と言えば俺も信じる。

 むしろ信じ込めるその女子たちが羨ましいわ。


「じゃあ古雅くんが女装したら冗談じゃなかったと確信しちゃいますね」

「疑い通り越して確信!?」

「え、古雅くん自分で女装してて自覚無いの?」

「メイクとか教えを請いたいレベルだったよ」


 驚愕する俺に口々に言う女子たち。どうやら俺の女装は魔性の域に達していたらしい。


「僕の取り巻き自体は数人だけどね。さっきも言った通り無駄に気位が高いから、馬鹿な信望者も多いんだよ」

「うーん。もうこれは女子の支持は完全に二つに分かれる前提でいくべきかな。九重先輩の女子ファンは無条件で古雅くん支持だし」

「何故に?」


 もう女子の動きが理解できないよ。アオイ先輩の女子ファンはアオイ先輩と同類ばかりなの?


「じゃあ男子の支持をどう集めるかだよね」

「女装しかあるまい」

「話が戻った!?」


 委員長の話題転換に対し、口元で両手を組み、無駄に威厳を出しながら逆回転をかける女子。

 駄目だこいつら。目的のために手段を選ばないならまだしも、手段のために目的を選ばないやつらだ。


「いやいやいや、男子は無理でしょ。俺完全にクラスの男子から孤立してるよ?」

「大丈夫。あと一押しで堕ちるから」

「それは大丈夫じゃない!?」


 クラスメートを修羅の道に堕とす気か!?

 というか俺にとっても修羅の道になるじゃねえかそれ!?


「やったねリョウちゃん。仲間が増えるよ」

「やめろ馬鹿!?」


 笑顔で言う女子に叫び返す。


「古雅くん用の女子の制服持ってきたよ!」

「なんでやねん!?」


 教室の扉をピシャアンと開け放ち、制服を掲げながら入室する女子。


「選挙ポスター用にカメラ持ってきたよ! ……古雅くん何でまだ女装してないの!?」

「知らんわ!?」


 デジカメ片手に現れるなり、俺を見て驚く女子。


「ポスター制作のためにパソコン部連れてきたよ!」

「男の娘はどこじゃあ!?」

「女装子と男の娘を一緒にするな!?」

『違うの!?』


 鼻息荒く現れたパソコン部員(男)に、反射的に言い返す俺と驚く女子たち。

 徐々に上がっていく教室のカオス度。もうどうやって収集つけるんだこれ。


「女装しかあるまい」

「あんたはもう黙れ!?」


 先程と同じポーズで言う女子。どんだけ女装推しなんだよあんたは。


「……どうしてこうなった」


 漏れた呟きは、教室の混沌に呑まれて消えた。

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