イケメンに告白されたけどイケメンがバグった
女装などという変わった性癖を持つ私ではあるが、他は割と普通の思春期男子と変わらない。
普通に女の子が好きだしゲームだってやるし好きなアイドルだっている。
私に女装以外に変な性癖はない。断じてMではないしSでもない。
なので、見た目茶髪ストレートな正統派美人に睨まれても嬉しくない。むしろ恐い。
笑って! 女の子は笑顔が一番だってばっちゃが言ってた!
「もう、いつまで睨んでいるんですのキミカ?」
昼休みの食堂。藤絵さんの頼んで北条さんと和解の場を設けたものの、空気がはりつめ過ぎて私たちの周囲だけ昼休みだというのに席が空いてる。
……無関係な生徒の皆さんごめんなさい。
「だって、何で話し合いたいと言いながら女装なのよ!?」
「ですよねー」
人差し指を向けてくる北条さんに、失礼だとも言い返せずむしろ納得してしまう。
はい、またしても私は女装です。何か最近学校で女装してる時間の方が長い気がする。
教師に注意されないのも謎だ。生徒会長だから見逃されているのか。……むしろ生徒会長だからこそ注意するでしょ普通!?
「それは……その、私が頼んだから……」
そう。男性恐怖症な藤絵さんに余計な心労を与えないための女装です。
恥じらうように顔をふせ、頬を赤く染めながら言う藤絵さん。
やめて、可愛すぎて私の理性がヤバい。
「まさか……あの噂は本当なの?」
「噂?」
「レイカ様が古雅と付き合って……」
「よーし、出てこい眼鏡☆ミ」
「いやいやいや、私じゃないよ!? 今回はマジで!」
トチ狂った噂が流れやがってるので笑顔で元凶を探すも否定された。
でもすぐに反応があったので、近くで観察はしてるらしい。
「そ、そんな噂が!?」
そして顔面真っ赤にして硬直してる藤絵さん。ここまで来ると大丈夫かと心配になってくる。
「だってレイカ様が綾月様と疎遠になった原因が古雅だって」
「合ってるけど間違ってる!?」
私は間接的原因であって直接は関係ねぇ!?
「古雅くん逃げて!」
「いきなり何ですか!?」
徐々にカオスになってきた食堂に、アオイ先輩がキツネうどん片手に現れる。
アオイ先輩キツネうどんとか食べるんだ。というか走りながらうどんの乗ったトレイを片手で運ぶアオイ先輩マジパねぇ。
「リョウちゃん!」
そしてアオイ先輩からしばし遅れて現れたのは綾月先ぱ……。
『ぎゃああああ!?』
『きゃああああ!?』
その綾月先輩を見て、男子が野太い悲鳴をあげ女子が黄色い悲鳴をあげ、食堂はさらなるカオスに包まれる。
「何で女装してんねん!?」
すらりとしたスタイリッシュな綾月先輩の肢体は、パツパツな女子の制服に包まれていた。
……どうしてそうなった!?




