殺人鬼少女と軍人青年
少女の口癖は『殺したくなる』
武器を振り回す殺人鬼。
少女を蝕むのは生まれ持った殺人衝動だった。
町が戦争になると捕らえられ幽閉された。
いつか使えるからと、拘束されたまま生かされた。
ある日、外が騒がしくなり軍人青年が現れた。
『食べる?』と差し出されたお菓子。
サクサクと少女が食べれば、青年はニコニコと微笑んだ。
青年は少女を軍に連れて行った。
上官からの監視命令で一緒に過ごした。
それからは戦力になるからと、いつも最前線で少女は戦った。
いつしか彼女を好きになっていた青年。
けれども、それは許されなかった。
ついに敵は幹部だけになった。
『僕が護る』と少女は最前線へ。
しかし、軍の援護はなかった。
彼女の強さに怖くなり軍は彼女を消したかったのだ。
『ごめんね』と呟いた青年の言葉は誰にも聞こえはしなかった。
敵に殺人鬼だと言われ、『もう殺人鬼じゃない!』と叫んだ少女。
幹部に胸を貫かれた。
少女は自分の血を見て狂気に乱舞した。
幹部が全員倒され、敵の残兵は白旗を上げた。
けれど、止まらない少女の乱舞。
青年は上官の命令に背き、少女を強く抱きしめた。
『もうやめて。終わったよ』
止まった少女は青年に倒れこんだ。
何もかも悟った少女は、青年に銃を握らせ自分に向けた。
『好きだ』と言って、青年が止めるのも聞かずに引き金を引いた。
青年は声を限りに泣き叫んだ。
その時、戦場に叩きつけるような土砂降りの雨が。
それは青年の心を代弁するかのようだった。
『好きだったよ』
青年は少女に口づけた。
眠る少女は微笑んでいた。
ふと、浮かんで書きました。
元々は詩もどきだったのですが、自分はやっぱり文章の方が好きで書き直しました。
久々の投稿で、ちょっと不安です。もしよければ感想や改善点を教えて下さい。