表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4度目の転生勇者は静かに暮らしたい ~もう魔王討伐は新入り(勇者)に任せたので、俺は美少女たちと諸国漫遊グルメ旅に出ます~  作者: のびろう。
第六章 大山脈の試練と、覚醒する精霊使い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/73

アリア覚醒と四人の連携

「(……なるほどな)」


俺は目の前で起こった光景に満足げに頷いていた。

崖から転がり落ち全身の岩(毛皮)を強打した巨岩熊は、今、怒り心頭といった様子で再び崖をよじ登り始めていた。


「グオオオオオオオオオ!」


凄まじい咆哮が谷間に響き渡る。


「き、騎士様!また来ますわ!」


アリアはまだ自分の「予言」が的中したことが信じられないのか、呆然としながらも再び俺の背後に隠れようとする。


「(こいつ優秀なのに、メンタルがまだ姫さまだな……)」


「す、すごいにゃ!アリア!今のどうやったんだニャ!?」

「偶然だろあんなの!たまたま、あの熊がドジだったんだ!」


ララは目を輝かせクロエはまだ半信半疑といった顔だ。


俺はそんな仲間たちを見渡しニヤリと笑った。


(三度の転生で色々なパーティーを組んできたが……こいつら最高の『原石』だ)


クロエの速さ、ララのパワー、ミミの守り。

そして、アリアの『未来予知』。


(これ、完璧なパーティーが組めるじゃないか)


俺は面倒事はごめんだが、こういう「育成ゲーム」は嫌いじゃない。

血が騒ぐ、というやつだ。


「偶然じゃない。――実戦訓練の総仕上げだ」


俺の声に四人がハッと顔を上げる。


「いいか!あの熊はB+ランク。お前たち一人じゃ、絶対に勝てない相手だ」

「「「!」」」

「だが、四人なら勝てる。いや、俺の指示通りに動けば、お前たちは一切の怪我なく完璧に勝てる」


俺は指揮官プロデューサーの顔になる。


「行くぞ!連携訓練、開始だ!」


「グオオオ!」


巨岩熊がついに崖を登り切り、俺たちの前に立ちはだかる!

その巨体はまさに「動く岩山」だ。


「指示、第一!」


俺はまずアリアを指差した。


「アリア!さっきと同じだ!敵の動きを封じろ!」


「は、はい!騎士様!」


アリアはまだ震えながらも、俺の言葉に必死に応えようと再び目を閉じた。


(……聞こえます!聞こえますわ!)


「土の精霊たち!わたくしの声に応えて!あの方の足元をどうか!」


彼女が祈るように叫ぶと、巨岩熊の足元の岩盤がまるで意思を持ったかのように、グニャリと粘度を増していく。


「グアアア!?(ずぶずぶ)」


巨岩熊が前進しようとした足が地面(泥濘)に取られ、一気に動きが鈍る!


「お、おお!すげえ!本当に足が沈んでるぞ!」

「やったにゃ!アリア、すごい!」


クロエとララが目を見張る。


「ふ、ふふん!やりましたわ!騎士様!」


アリアが得意げに俺に振り返る。


「上出来だ。だが、よそ見するな」

「指示、第二!」


俺はクロエに向かって叫ぶ。


「クロエ!敵の注意を引きつけろ!死角から目眩ましだ!」


「言われなくても!」


クロエはアリアが作ったチャンスを逃さない。

彼女の体がふっと霞むように消える。


(【隠密】スキル、完璧に使いこなしてるな)


巨岩熊がもがく足に気を取られているまさにその瞬間。

クロエはすでに魔獣の背後(死角)に回り込んでいた。


「くらえ!」


懐から取り出した特製の「煙玉」を巨岩熊の顔面に叩きつける!


「グボアアアアア!?」


ボフン!という音と共に視界を奪う刺激臭のある煙が熊の顔を直撃する。

熊は、目と鼻をやられ、デタラメに腕を振り回し始めた。


「(よし、拘束、目眩まし、完璧だ。……次、主砲!)」

「指示、第三!」


俺は、すでに闘気を高めていたララに最大火力の合図を送る。


「ララ!眉間を狙え!最大火力、叩き込め!」


「待ってましただにゃあああああああ!」


ララの体が黄金の闘気に包まれる。


(クラスチェンジした『拳聖』の力、見せてもらうぞ!)


ララは拘束され目も見えない巨岩熊に向かって一直線に突撃する。

振りかぶった小さな拳に彼女の全魔力が収束していく。


「おらーーーーーーっだにゃあああああ!」


ゴッッッ!!!


岩と岩が激突したような鈍く重い破壊音。

ララの拳が巨岩熊の眉間――その分厚い「岩石の毛皮」を完璧に捉えた。


「(……ピシッ)」


次の瞬間。

あの、並大抵の攻撃は無効化するという岩石の毛皮に蜘蛛の巣のような「ヒビ」が入った。


「グオオオオオオオオオ!?」


巨岩熊が人生(熊生?)で初めて味わうであろう、強烈な「痛み」に絶叫する。


「うおっ!マジかよ!あの岩ヒビ入ったぞ!」

「やったにゃ!ララの勝ちだにゃ!」


クロエが驚愕し、ララが着地してガッツポーズを決める。


(……だが、まだだ!)


ヒビは入ったが致命傷には至っていない。

怒り狂った巨岩熊は、痛みと混乱で煙の中か、無差別にその巨大な爪を振り回した!


「ガアアアアア!」


その一撃が、着地したばかりのララを横薙ぎに襲う!


「ララちゃん!」


アリアが悲鳴を上げる。

だが、俺の指示はすでに飛んでいた。


「指示、第四!ミミ!」

「はいですぴょん!」

「ララの着地をフォロー!全員に【聖域の盾】!」


俺の言葉とミミの詠唱はほぼ同時だった。


「わたくしの『家族』に手出しはさせませんぴょん!」


ミミが杖を掲げると、金色の光がララを、クロエを、アリアを、そしてミミ自身を完璧なタイミングで包み込む。


ガギイイイイイイイイイイン!


巨岩熊の必殺の爪が、ララの目の前でミミの防御結界に阻まれ、甲高い音を立てて弾かれた。


「あ、あぶなかったにゃ……」


ララが冷や汗を拭う。


「お姉ちゃん!サンキュ!」

「ふぅ……。間に合ってよかったです、ぴょん」


ミミがほっと胸を撫で下ろす。


「(……完璧だ)」


俺はこの一連の流れに笑みを抑えきれなかった。

アリアの「拘束デバフ」。

クロエの「攪乱かくらん」。

ララの「火力アタッカー」。

ミミの「防御サポート」。


(俺が手を出すまでもない。こいつらだけでB+ランクを完封できる)


巨岩熊は、今や足は泥に取られ、目は見えず、渾身の一撃は防がれ、おまけに一番硬い「額」にヒビまで入れられている。

完全に、パニック状態だ。


「よし」


俺は仕上げの指示を出す。


「アリア、敵の動きを止め続けろ。クロエ、ララ、もう一度、額のヒビに同時に叩き込め!ミミ、回復準備!」

「「「「了解!(ですわ!)(にゃ!)(ぴょん!)」」」」


四人の声が完璧に重なった。


***


数分後。

あの巨岩熊は動く岩山からただの岩山(動かない)へと変わっていた。


「はぁ……はぁ……」

「ぜぇ……ぜぇ……」

「やった……やったにゃ!」


ララが魔獣の亡骸の上でぴょんぴょんと飛び跳ねている。


「……マジか。あたしたちだけで倒しちまった……」


クロエが短剣を鞘に収めながら、信じられないといった顔でその光景を見ている。


ミミも杖を抱きしめながら嬉しそうに頷いている。


「みんな、すごいです……ぴょん!」


そして、アリア。

彼女は戦いが終わった後も、その場にへたり込んだまま自分の両手をじっと見つめていた。

「……わたくし……」

「……」

「わたくし、やりましたのね……?騎士様のお役に立てましたのね……?」


その翡翠色の瞳にじわりと涙が浮かぶ。

里の禁書で読んだ「戦う姫君」の姿と今の自分が初めて重なった瞬間だった。


「騎士様ああああああ!」


アリアは感動のあまり、俺に向かって両手を広げて駆け寄ってきた。


(あ、これはいつもの「抱きつき(ラブ)アタック」の軌道だ)


俺はアリアが飛び込んでくる直前、流れるような動きでスッと半身をずらした。


「どわっ!?」


アリアは俺(がいた場所)を通り抜け、そのままの勢いで近くの雪解け水の水たまりに顔から突っ込んだ。


(……ナイス回避)


「(ぷはっ!)き、騎士様!?なぜ、お避けになるんですの!?今のは、感動の『愛』の抱擁の場面ですわ!」

「ああ、悪い悪い。それより、アリア」


俺は水浸しで抗議するアリアの頭に、ポンと手を置いた。


「!きゃっ!」


アリアがびくんと固まる。


「上出来だ、アリア。お前の『声』はこのパーティーに必須だ。最強の武器になるぞ」

「き、騎士様の……最強の武器……!」


アリアは俺に頭を撫でられたまま顔を真っ赤にして完全にフリーズした。


(ふふふ……これが、騎士様の……『愛』のご褒美……!)


彼女の「恋する乙女」回路がショートしている音が聞こえるようだった。


「あー!ずるい!アリアばっかり!」

「ユート!ボクも戦った!ボクも撫でろ!」

「お兄ちゃん!ララが一番ダメージ与えたんだにゃ!ララは『ぎゅー』だにゃ!」


(はいはい、始まった)


クロエとララが俺の両足にわらわらと群がってくる。

ミミが、その様子を少し羨ましそうにでも嬉しそうに見守っている。


(やれやれ。連携は完璧だったが、こっち(戦いの後)の連携は、まだまだ前途多難だな)


俺は美少女たちにわちゃわちゃにされながら、谷底に横たわる「巨岩熊」の亡骸を見つめた。


(さて。B+ランクの熊、か)


俺の【万物鑑定】が瞬時に最高の調理法を弾き出す。


(……うん。この肉質と脂。間違いない)

(今夜は、ミミの修行も兼ねて最高の「熊汁」……いや、味噌はないから「特製・岩熊のポトフ」に決定だな)


俺は、騒がしい仲間たち(と、食材)を前に静かにほくそ笑むのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ