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4度目の転生勇者は静かに暮らしたい ~もう魔王討伐は新入り(勇者)に任せたので、俺は美少女たちと諸国漫遊グルメ旅に出ます~  作者: のびろう。
第三章 涙の誓いと、育成計画のはじまり

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最強師匠の装備選びと、焼きもち狐の溜息

あの夜。

焚き火の前で三人の少女たちの覚悟(と、俺の面倒な未来)が確定した、その翌日。


「……で」


「「「……」」」


俺は、アークライトのメインストリートのど真ん中で、腕を組んでいた。

目の前には、俺の(いつの間にか)弟子兼護衛となった、三人の少女が緊張した面持ちで直立不動している。


快活なボクっ娘盗賊、クロエ。

天真爛漫な虎獣人格闘家(予定)、ララ。

気弱な兎獣人ヒーラー(予定)、ミミ。


「……うん。ダメだ。話にならん」


俺は、三人の服装を見て、深く深いため息をついた。

クロエは、例の『闇蛇の牙』に切り裂かれた、ボロボロの革鎧(俺が【裁縫】スキルで適当に繕った)。 ララとミミは、昨日クロエが(俺の金で)買ってきた、街娘のワンピース。


「ええ!? ダメって何がだよ、ユート!」


クロエが抗議の声を上げる。


「当たり前だろ。これから『誰にも負けないくらい強く』なる奴らが、そんな『村人A』みたいな格好でどうする。森に入った瞬間にゴブリンの餌食だぞ」


「う…! そ、それはそうだけど…」


「ララは、お洋服、可愛いから好きなのにゃ…」

「わ、わたくしたち、お金、ないですウサ…」


ララとミミが、不安そうにワンピースの裾を握りしめる。


俺は、そんな三人に、ニヤリと笑いかけてみせた。


(ふっふっふ。待ってました)

(3度の人生で、俺が戦闘メインより情熱を注いできたのは、何か?)

(そう、『料理』と『最強装備の収集・研究』だ!)


俺は【無限収納】から、例の(奴隷商人に投げつけたモノとは別の)ずっしりと重い金袋を取り出し、チャリン、と鳴らしてみせる。


「安心しろ。金なら『有り余ってる』。お前たちの師匠(仮)として、まずは『見た目』から入るのは基本中の基本だと、俺の知ってるラノベにも書いてあった」


「「「(((ラノベ?)))」」」


三人の(クロエは声に出てた)ツッコミを華麗にスルーし、俺は高らかに宣言した。


「育成計画、第一弾! 『最強装備(初期)を買い揃えよう』ツアー、開始だ!」


俺たちが最初に向かったのは、街一番の品揃えを誇る、老舗の武具店『ドワーフの髭』だった。


(クロエが昨日、行きたがってた店だな)


カランカラン、とドアベルが鳴る。

店内には、武骨な武器や防具が、所狭しと並べられていた。

いかにも頑固そうなドワーフの店主が、カウンターの奥で「ふん」と鼻を鳴らす。


「いらっしゃい。……なんだ、ヒヨッコのガキどもか。冷やかしなら帰んな」


「(うわ、テンプレな頑固オヤジだ)」


俺が苦笑いしていると、クロエがムッとして前に出た。


「おいオヤジ! 客に向かってその態度はねえだろ!」


「うるせえ。武器は、使い手を選ぶんだ。お前らみてえな、ナマクラな目をした連中に売るもんはねえよ」


(あー、面倒くさい。こういう手合いは、黙らせるのが一番早い)


俺は、カウンターに金袋を(わざとらしく)ドン、と置いた。

金貨が数枚こぼれ落ち、店主の目が、初めてこちらを向く。


「……まずは、そこの赤毛クロエの武器だ」


俺は、店主の言葉を完全に無視し、壁にかかった無数の短剣ダガーを品定めし始める。


「おい、ガキ、勝手に触ん…」

「ふむ。こっちの『鋼鉄製』は重すぎる。こっちの『風切り』は、悪くないが耐久性がゴミだ。……ああ、店主」


俺は、ショーケースの奥、埃をかぶった一振りの短剣を指差した。


「そこの『ミスリル製の短剣』、見せてもらえます?」


「……!」


店主の、髭に覆われた顔が、ピクリと動いた。


「……ほう。小僧、目が利くじゃねえか。そいつは、しがない行商人が『ただの綺麗な鉄クズ』だと言って置いていったもんだが…」


「鉄クズ? 馬鹿言え」


俺は、店主に渡された短剣を、指で軽く弾く。

キィン、と澄んだ金属音が響いた。


「(完璧だ。3周目(剣聖)時代に見た、エルフの名工が打った『魔力通し』の試作品。間違いない)」


俺は、クロエにその短剣を手渡す。


「クロエ、持ってみろ」


「え? あ、おう」


クロエが受け取った瞬間、彼女の目が、カッと見開かれた。


「か……軽い!? なんだこれ、羽みたいだぜ!?」


「だろうな。そいつは、普通の鉄の三分の一の軽さしかない『ミスリル銀』製だ。だが、強度は鋼鉄の五倍。そして何より…」


俺は、クロエの耳元で(わざと)囁く。


「魔力を通しやすい。お前、隠密系のスキルを持ってるだろ? そいつは、お前のスキルと抜群に相性がいい。いずれ、お前が『忍術』みたいなスキルを覚えた時、最強の相棒になる」


「し、忍術!? (ゴクリ)……」


クロエは、まるで運命の相手に出会ったかのように、そのミスリル短剣に頬ずりしている。


(よし、一人目、陥落)


店主は、俺が「ミスリル」だの「魔力通し」だの、専門用語を並べたことに、さっきまでの侮蔑の表情を消し、「こいつ、何者だ?」という驚愕の顔で俺を見ていた。


俺は、休む間を与えない。

次は、ララだ。


「ララ、お前は『格闘家』だ。武器は、己の拳と足。だから、これだ」


俺は、棚の奥から、くすんだ色の手甲ガントレット足甲グリーヴのセットを引っ張り出してきた。


「うわ。なんか、地味だにゃ…」


ララが、不満そうに虎耳を垂らす。


「(ふっ。素人はこれだから)」


俺は、その手甲をララの手にはめさせる。


「いいか、ララ。そいつは『アダマンタイト(金剛石)』を革に練り込んである。見た目は地味だが、防御力はそんじょそこらの鉄鎧より上だ」


「へえー?」


「そして、何より、動きを阻害しない。お前の持ち味は、虎としての『スピード』と『パワー』だ。それを一切殺さずに、お前の拳を『必殺の凶器』に変える。…おまけに、これ、可愛い『肉球』の模様が隠し彫りされてるぞ」


「にゃ!? ほんとだ! 肉球だにゃ!」


ララは、さっきまでの不満顔はどこへやら、自分の拳に装着された「肉球ガントレット」を、キラキラした目で眺めている。


(はい、二人目、陥落)


「……おい、小僧」


店主が、ついに我慢しきれず、カウンターから出てきた。


「……お前さん、一体、何者だ? その『アダマンタイト練り込み革』は、ドワーフの王族御用達の工房で、100年前に廃れた技術のはずだ。なんで、それを知ってやがる…?」


「さあ? ラノベで読みました」

「(ラノベ…?)」


俺は、店主の混乱をよそに、最後の仕上げにかかる。


「ミミ」


「は、はいぃっ!」


ミミが、兎耳をビクッと震わせて、直立不動になる。


「お前は『ヒーラー』だ。後衛で、仲間を癒し、守るのが仕事。だが、お前自身が一番、か弱い」


俺は、店の一番隅、それこそ「杖」ではなく「ただの木の棒」として無造…作に立てかけられていた、一本の白樺しらかばの杖を手に取った。


「……これ、ですウサ? ただの、木の棒…」


ミミが、不安そうにそれを見つめる。


「(ふっ。3周目(大賢者)の俺の目をごまかせると思うなよ)」


俺は、その杖の先端(石突)を、店の床に「トン」と軽く突く。

コン、と乾いた音がした瞬間、杖に刻まれた、微弱な、しかし極めて高度な古代ルーン文字が、一瞬だけ淡く光った。


「ひゃっ!?」


「…これは『世界樹の若枝』だ。それも、『魔力増幅効果(大)』と『精神安定(小)』の祝福が付与されてる、超一級品だ」

「せ、世界樹!?」


店主が、ついに声を裏返らせた。


「馬鹿な! そんなモンが、こんなクズ同然の値段で…!?」


「店主、アンタの目は節穴か? 仕入れの時に鑑定しなかったのか?」

「う、うるせえ! 俺は鍛冶屋だ! 魔法の杖なんざ、専門外だ!」


俺は、ミミにその杖を優しく握らせる。


「ミミ。これを持てば、お前がこれから覚える『回復魔法』の効果は、最低でも3倍になる。そして、何より、お前の『臆病な心』を、この杖が守ってくれる」


「……わたくしを、守ってくれる…?」


ミミは、その白樺の杖を、まるで赤子を抱くかのように、胸にぎゅっと抱きしめた。

その兎耳が、嬉しそうに、ぴょこんと跳ねた。


(はい、三人目、完璧に陥落)


「……まいった」


会計時。

俺が(言い値の倍の)金貨をカウンターに積むと、あの頑固オヤジ(店主)は、深々と、俺に頭を下げていた。


「小僧…いや、旦那。あんた、何者か知らねえが、とんでもねえ『目利き』だ。うちの在庫ガラクタの、本当の価値を見抜かれたのは、開店以来、初めてだ…」


「どういたしまして。いい買い物ができたよ」


「……待ちな」


店主は、店の奥に引っ込むと、何かを抱えて戻ってきた。

それは、三着の真新しい『防具』だった。


「クロエには、これだ。『闇夜の革鎧シャドウ・レザー』お前さんの言う『忍術』とやらに合うかは知らねえが、隠密性と防御力は、うちで一番だ」


「ララには、これ。『虎斑とらふの道着』伸縮性と耐久性に優れてる。お前の動きを邪魔しねえ」


「ミミには、これ。『聖職者のローブ(白)』だ。魔力抵抗が高い。その杖とも相性がいいだろう」


「「「うわあああ…!」」」


三人が、目を輝かせる。


「……店主、いくらだ?」 俺が金袋に手をやると、店主は「ふん」と鼻を鳴らした。


「いらねえよ。そいつは『お代』だ」

「お代?」

「あんたのおかげで、うちの『ガラクタ』が、本当の『主』を見つけられた。その礼だ。……持ってけ、ヒヨッコども! そいつらに見合う『使い手』に、ちゃっちゃと、なりやがれ!」


「「「……!」」」

「(……ツンデレなオヤジめ)」


俺たちは、店主の(不器用な)激励を受け、最高の装備一式をタダでゲットし、意気揚々と店を出た。


店の試着室(という名の裏部屋)で、全員が着替えて出てきた時。

俺は、思わず(4度目の人生で初めて)息を呑んだ。


「…………」


(いや、あの、これは……)


クロエ。

『闇夜の革鎧』は、彼女のスレンダーな(控えめな胸)体に完璧にフィットし、機能美と、ある種の「色気」すら醸し出していた。

太ももに装着された、ミスリル短剣の鞘が、プロの斥候(と、美少女)としてのオーラを放っている。


ララ。

『虎斑の道着』は、彼女の活発な魅力を最大限に引き出していた。

手甲と足甲を装着し、ファイティングポーズを取る姿は、まさに「小さな虎」。

その健康的なお腹(へそ出し)と、ぴんぴん動く尻尾が、眩しい。


ミミ。

『聖職者のローブ(白)』は、彼女の儚げな雰囲気と、銀髪を、まるで「聖女」のように引き立てていた。

……のだが、問題は、そのローブのデザインが、彼女の(隠しきれない)豊かな胸のラインを、逆に、完璧に、強調してしまっていることだった。

『世界樹の杖』を胸に抱きしめる姿は、守ってあげたい感と、いけない背徳感が、絶妙に同居していた。


「(……店主。絶対、分かってて選んだだろ、アレ)」


俺が、あまりの「破壊力」に呆然としていると、三人が、不安そうに、あるいは得意げに、俺の前に並んだ。


「ど、どうだ、ユート? 似合うか…?(ソワソワ)」

「にゃは! ララ、カッコイイか、にゃ?」

「あ、あの…ユートさん…。こ、これ、ちょっと胸のあたりが…きつい、ですウサ…(モジモジ)」


(……きつい、だろうな。うん)


俺は、頭痛をこらえながら、彼女たちの師匠(仮)として、完璧な答えを返す。


「……ああ。三人とも、最高に似合ってる」

「「「!」」」


「(クロエは、カッコ可愛いな)」

「!(ニヤア)」


「(ララは、元気そうで可愛い)」

「にゃは!」


「(ミミは……うん、すごく、可愛い(婉曲表現))」

「は、はいぃ!(顔真っ赤)」


(よし、完璧だ。これでモチベーションも上がっただろ)


「さて、と!」


ピカピカの(そして、超絶可愛い)装備に身を包んだ俺たち四人は、意気揚々と、再び冒険者ギルドの扉をくぐった。


「「「おお……!?」」」

「なんだ、あの子たち…!」

「めちゃくちゃ可愛い子、入ってこなかったか!?」


ギルド内の、オッサン冒険者たちの視線が、一斉に俺のパーティー(主に女子三人)に突き刺さる。 (うわ、目立つ…。スローライフが…)


俺は、そんな視線を完全無視し、いつものカウンターへと向かう。

そこには、今日も元気に尻尾を振る、コネットさんの姿があった。


「あ、ユートさん! いらっしゃい……ま……」


コネットさんは、俺の姿を認めて笑顔になりかけ……俺の後ろに続く、三人の美少女(クロエ、ララ、ミミ)の、あまりの可愛さと、そのハイスペックな(どう見ても新人用ではない)装備を見て、完璧に、固まった。


「……え?」


「こんにちは、コネットさん。今日は、この二人の『新人登録』と、『パーティー申請』に来ました」 俺が、事務的に告げる。


「し、新人……? ぱ、パーティー……?」


コネットさんの狐耳が、ありえない角度に、ピーン!と固まっている。

彼女は、俺と、クロエと、ララと、ミミを、順番に、何度も、何度も、見比べた。


「……あの、ユートさん? この、とんでもなく可愛い方々は、一体、どなたですか…?」


「ああ、俺の『護衛』です」


「(護衛!?)」


「(クロエは知ってるだろ? あとの二人は、ララとミミ。事情があって、俺が保護した。今日から、俺のパーティーメンバーだ)」 俺は、小声で(奴隷の件は伏せて)説明する。


「……は、はい。承知、いたしました…(震え声)」 コネットさんは、プロの受付嬢として、必死に表情を取り繕いながら、ララとミミの登録手続き(書類は俺が全部書いた)を進めていく。


「……はい、ララさん、ミミさん。これで、Fランク冒険者として登録完了です。……それで、パーティー申請、ですね。パーティー名は、お決まりですか?」


「「「あ」」」


俺たち四人は、顔を見合わせた。 ((((決めてなかった))))


「うーん……」


クロエが腕を組む。


「『ユートと三匹の弟子たち』とか?」

「却下だ。誰が師匠だ」


「『お肉大好きシスターズ!』だにゃ!」

「却下だ。俺が入ってない」


「『ふわふわ兎と虎さんチーム』…ですウサ?」

「可愛いけど、クロエが入ってない」


(あーもう! 面倒くさい!)


俺は、こういうのが一番苦手だ。


「もういい。コネットさん、パーティー名は……」


俺は、心の中で(ヤケクソで)叫んだ。


(俺の目的は、ただ一つ! 『スローライフ』だ!)


「『スローライフ希望ウィッシュ』で、お願いします」


「「「…………」」」


「……え? ユートさん、今、なんと?」


コネットさんが、聞き返す。


「『スローライフ希望ウィッシュ』。カタカナで」


「…………」

「(スローライフ……?)」

「(きぼう……?)」


クロエとララとミミが、その(ラノベのタイトルみたいな)単語を、頭の中で反芻している。

そして、次の瞬間。


「「「かっこいい!(にゃ!)(ウサ!)」」」


「((((なんでだよ!?))))


俺の心のツッコミが、ギルド中に響き渡った(気がした)。

クロエは「『希望ウィッシュ』って響き、なんか強そうだぜ!」と目を輝かせている。

ララは「スロー?ってのは分かんないけど、カッコイイにゃ!」と拳を握っている。

ミミは「…素敵、ですウサ」と頬を赤らめている。


(……お前らの感性、どうなってんだ…)


俺の(半ばヤケクソの)ネーミングセンスは、何故か、三人の乙女心(?)に、クリティカルヒットしてしまったらしい。


「……か、承知いたしました」


コネットさんは、プルプルと震える手で、羊皮紙に『パーティー名:スローライフ希望』と書き込んだ。 その表情は、どこか、遠い目をしていた。


「(……ユートさん)」


コネットさんは、手続きが完了し、意気揚々と(主に女子三人が)依頼書ボードへ向かう俺たちの背中を、見つめていた。


「(いつの間に、あんな可愛い子たちを三人も……。しかも、クロエさんまで、ユートさんに懐いちゃって……。パーティー名も、なんか、意味深だし……)」


彼女の、ふわふわの狐尻尾が、力なく、パタリ、と垂れ下がる。


「(……私だって、ユートさんと『アップルパイ』、食べたかったのに……)」


ギルドの受付カウンターに、一人の乙女(狐)の、小さな溜息がこぼれ落ちた。


「さあ、お前たち!」


俺は、そんなコネットさんの乙女心には(スローライフを邪魔されるので)一切気づかず、依頼書ボードの前で、三人の(ピカピカの)新米冒険者に向き直る。


「パーティー結成、おめでとう。だが、お前たちは、まだ『ひよこ』だ」 俺は、ボードに貼られた、一枚の依頼書をひっぺがす。


『Eランク依頼:アークライト近郊の森・ゴブリンの巣の討伐(前回、調査済みの場所)』


「育成計画、第二弾!」


俺は、三人に、ニヤリと笑いかける。


「――実戦特訓レベリング、開始だ!」

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