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【最悪仕様のチート魔法】空飛ぶ未来スマホと、【彼女】の帰還顛末記はステラ・マズルカニクル  作者: 庭廷梛和
第1部 第1章 出会いは、【2024】 マイナス26年目の年度末
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【#01】星明かりの魔法使いのてんまっき

 星に願いを(あぽんあすたー)――

 昔から よく そう言うけどさ!


 もしも(IF) 星のほうが(The Stars)

 まじめに(described) 願いを(A STRNG)

 かけちゃってたら(Wishes)

 どうなんと思う?


 こう(・・) なんだよ!


 (すりぃ)(とぅ)(わん)

 もういいかい? はじまるぞ!



   【あぼんしかけた俺は、

    目覚めたら“ようじょ”にドボンしてた】




 ⋯⋯――ぅうう。頭、痛ってぇ⋯⋯!


 けど、ぎりぎりどうにかなったみたい。


 軋みを上げるこめかみに、内側から叩き起こされた俺は、

 痛む部分が他にはないことに、安堵しいしい身を起こしかけ、


 って、え――!?

 

 手のひらに感じた強烈な違和感に、目を見開いた。

 途端、ぶり返してきた刺すような痛みに思わず顔を(しか)める。


 いや、顰めたのは頭痛のせいだけじゃない。



 おいおい、なんつうか、まるであいつの髪に触れた時みたいじゃなかったか、今!?



 ギョッとしたあまり、引っ()がす勢いで離してしまった右手と、起き上がりかけの体を支えている左手。


 腰回りに軽く力を込めて、上半身をしっかりと支え直した俺は、自由になった両手でもって今度はこわごわと頭髪に指を這わせ、絡ませてみる。



 おかしい。



 俺の髪がこんなに柔らけーワケない。


 大体、ここ、どこなんだよ?


 見たトコ、和室みてーだけど。


 

 会場にこんな部屋、あったっけかな⋯⋯?



 それに⋯⋯あれ? そもそも俺、どうやってここに?

 変だな。思い出せねえや。


 いよいよ奇っ怪。


 痛くない方の頭の隅で、端的に浮かべると、何かヒントが見つかりやしないかと、俺はぐるりと部屋の中を見回すことにした。


 まず右手側。

 床の間があり、鞘におさまったままの太刀と脇差が飾ってある。


 奥側と手前には、手作り感あふれる掛け軸に、金彩の施された壺が赤白で一口ずつ。


 その反対へと首を巡らせると、モノクロの写真が額縁に入れられ、長押(なげし)に三人分飾られている。


 写っているのは男二人に、女性が一名。

 日本海軍の軍服に、袴姿に、留袖姿。服装からして戦前か戦中(おおむかし)に撮影されたものだろうか?


 二間続きの襖は開け放たれていて、その向こうに置かれた座卓の天板には、和室には似つかわしくないペット用のキャリーが二つ並んでいる。


 サイズはどうみても、小型犬用。猫か犬でもいるっぽいな。


 部屋の明かりは消えているが、まだ日が高い時間らしく、自然光だけで部屋の中は十分明るい。



 だから照明は()いていなくて――、って、


 うん?

 ⋯⋯なんか天井高くないか? 

 俺が、座ってるせい?



 それにしても、どこか違和感ある気がするけど。

 ま。いいや。立てばわかる。 


 俺は、立ち上がりながら再び(あた)りを見渡した。


 ふうむ、レセプション会場のホテルの和室にしちゃあ、生活感ありすぎ。一般家庭の二間続きの日本間ってところだな、こりゃ。


 天井は――⋯⋯。


 うん。やっぱ不自然に高い。


 俺は思った。


 三メートルじゃ効かなくね?


 見たトコ、天井高以外は普通の日本間なのに、なんでこんな作りにしたんだろう。


 これじゃあ照明入れるのだって不便じゃねーか。


 実際、百七十五の背丈の俺でも、紐に手が届きそうにないしさ。


 他に妙なところは――?


 さらに確かめようと、窓ガラスの向こう、庭先へと目を向けた俺は、映り込んでいる姿に、思いがけず、


「ぅワきゃあッ!?」


 叫んでいた。



 そう。


 俺の喉から出せるワケのない、それこそ小学生になるかならないかくらいの――


 幼い女の子(・・・・・)そのもの(・・・・)、な声で。




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