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#11 本能

「おっ邪魔しまーす!」


元気よく玄関で挨拶する月をひかるはまだ緊張してる様子で、どうぞ…と出迎える。

 

「天音君って本当高校生とは思えない程しっかりしてるね、部屋も綺麗だし」

「まあこれも親の影響でな」


ゴミや、脱いだ服が床に落ちてないスッキリとしたお部屋に月は関心していた。

とは言えやはり女の子を招き入れるのだから念入りにチェックしていた為、少し疲れてる様子のひかる。


「そんなことより早くやろ、コントローラーセットするね」


自宅から持ってきたコントローラーをるんるんでセットする所にひかるが少し間を空けて後ろから、なぁ椿と声をかけ、月は振り返らずにんー?と返事をする。


「いくら同じゲームの趣味だからってホイホイ男の家行くもんなのか?」


「ホイホイって失礼な。男の子の家行くの幼稚園以来だし、それに天音君は女の子に興味なさそうだから大丈夫だもーん」


「あのなぁ、俺だって普通の男なんだぞ。あまり油断をするなよ」


送り手と受け手では解釈が違うのはよくある話だ。

ひかるは言葉通りの意味だが受け手には、お前に惚れる可能性もあると捉えられたのだ。


元々のひかるの印象は悪くなかった所更に、振り返れば薄手のシャツに着替えた姿から見える逞しい身体を見て、女性としての本能が反応したのだろうか。はっきりとひかるのことを異性として意識した瞬間でもあった。


「う、うん、そうだね…ごめん」

「別に謝らなくていいけど、とりあえずゲームするか」

「う、うん」


やばい…一瞬見惚れてた…

心の中で呟き、目線を逸らして顔を赤くしている。内心はゲーム所ではない。


とは言えどその為に来たのでひかるは起動させて、そして互いにキャラクターを選ぶ。

「3.2.1.ゴー!」


合図とともに戦いが始まる。


ひかる多少緊張はしてるがゲームには集中していて真顔でテレビを見つめているが、一方の月はと言うと


「筋肉すごがった…腕も太いし、胸筋もすごかったし、16歳ってあんなにムキムキになれるの?えー?えー?もしかして、腹筋も…ダメダメ!視線をそっちにやるな、わたし!」


脳内で意味不明な呪文を唱えていて、全く集中出来てなくて当然ひかるが勝利した。


「俺の勝ちだな、でも椿も結構やり込んでるんだな」

「た…たまたま調子が悪かっただけよ、ちょっとトイレ借りるから」


「おう、ちゃんと返せよー」

「返せないわよ!」


「あいつそんなに負けたの悔しかったのか?」


顔を真っ赤にして足早にトイレに行き強めの音で閉まった扉に、ひかるはそう思ったが全くの見当違いであるのは言うまでもない。

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