殺意と愛の狭間で、私は彼を殺すしかないと心に決めたの!
殺意と愛の狭間で、私は彼を殺すしかないと心に決めたの!
私は彼の事を心から愛している。
でも? 彼の浮気癖はどうしても私は許せなかった。
どうしようもない彼の女性に対する執着心!
誰彼構わず、女性なら声をかけて引っかかた女の子と体の関係を直ぐに
もつバカな彼氏に私は飽き飽きしている部分もあったが......。
それでも私はそんな彼氏でも心から愛していたのだ!
だから私からは彼と別れられない。
“このままだと私の心が先に壊れてしまう。”
・・・それなら一層の事! “彼を殺すしかない”と私は心に決める!
『ねえ? 今度の金曜日の夜から、私の別荘に行かな?』
『えぇ!? アノ佐奈香の親父の別荘か?』
『ううん、私と一緒に行くのイヤ?』
『・・・そ、そうじゃないけど、まあ別にいいよ! たまにはゆっくり
しないとな! 分かった、一緒に行こう!』
『うん!』
私は予め、別荘に何回かに分けて“彼を殺す道具を用意しており”
この日は、その“殺人計画を実行する日だったのだ!”
それに私一人では、男性を殺しても死体を隠せないと私は思っており
協力者なしでは、この殺人は行えないと思った。
だから私は絶対にこの計画が誰にもバレない相手、そう私の兄を協力者
にしようと決めた!
私の兄は、私よりも10個も上で私が幼い時から“父親のような存在だった!”
血の繋がった実の父親から私や母を暴力から救ってくれる。
そんな父親から助けてくれる唯一の存在が“兄だったのだ!”
ただ兄は、私が10歳の時に既に結婚しおり家を出ていた。
兄は、たまに実家に様子を見に帰って来て私と母親を守ってくれていた。
父親はそんな兄に手出しが出来なかったのだ!
何故なら兄は、“警察官をしており体も父親よりも大きかったからだ!”
本気で兄と戦って父親が勝てるはずがない!
父親はどちらかといえば? 男性の中でも体が細く弱弱しい男性で。
でも? 女や子供なら勝てると思っている父親は、私や母親には平気で暴力
を振るうサイテーな父親だった。
・・・でも父親が、私と母親に暴力を振るっていたその時!
兄が実家に帰って来て私と母親を何時ものように助けてくれる。
だけどその時は何かが違っていた!
父親は随分とお酒を飲んでいたらしく兄にも暴力を振るおうとしていたのだ!
兄は父親を背負い投げで投げ飛ばし父親は畳に転がる。
それに腹を立てた父親は兄にしつこく絡んできたのだ!
そして遂に、起きてはいけない事が起きてしまった!?
『親父もうやめろ! 今なら許してやるから!』
『なんだと、父親に向かってその言い方は! オレに謝れ!』
『随分と酒飲んでるんだろう! もうやめとけって!』
『黙れ! オレはお前達の親父だぞ!』
【バタン】
『・・・・・・】
『・・・お、お父さん、大丈夫? お父さん!』
『親父! ふざけてないで早く起きろよ!』
『・・・し、死んでる、』
『えぇ!?』
『嘘だろう!』
『お父さん、息してないのよ! 救急車呼んで!』
『“ダメ!”』
『・・・佐奈香、』
『お願い! 警察も救急車も呼ばないで!』
『お兄ちゃん、佐奈香の言う通りにしてあげて!』
『・・・で、でも? まだ今なら親父が助かるかもしれないんだぞ!』
『“私はどうせならもう死んでほしい。”』
『・・・さ、佐奈香、』
『お母さんも佐奈香と同じ気持ちよ、もう暴力に怯えたくないわ!』
『・・・わ、分かった! 俺が後は何とかするよ。』
『お、お兄ちゃんありがとう!』
『お兄ちゃんが居てくれて本当に良かったわ。』
『夜中に袋に詰めて山に埋めてくる。』
『・・・ううん、』
『頼んだわね!』
『あぁ!』
・・・この事件は、“今でも未解決事件となっている。”
日頃から朝からお酒を飲み、母親や娘に暴力を振るって近所の人達も
警察にそういう風に聞き込みの時に言ってくれていたらしい。
だから突然! 父親が家を出て行き今でも何処かで暮らしていると皆
思っているのだろう。
まあ、私たち家族が誰も捕まらないのであればそれでいい!
それに兄は今でも現役の警察官で、後輩に慕われる優秀な警察官なのだ。
誰も兄を疑う者はいない!
・・・だから私はまた兄を頼り、彼を殺してもらう。
『お、お前な! また俺に死体の始末をさせる気か? 殺す前に別れたら
いいんじゃないのか?』
『お願い、お兄ちゃん! 私にもう一度だけ協力して!』
『・・・佐奈香、』
『私は彼を心から愛しているわ、でも? 彼の浮気癖は絶対に許せないの!』
『・・・ど、どうしてんなんだ?』
『何が?』
『“どうして殺す選択しかお前はできなんだよ!”』
『この世から消えてくれたら? 私の記憶からも少しづつ時間がかかっても
消えていくと思うの! それはお父さんの時に分かった事よ。』
『・・・そ、そっか、もう考えは変わらないんだな。』
『ううん。』
『分かった、お兄ちゃんが協力してやるよ!』
『ありがとう!』
・・・一度、手を汚すとまた手を汚す事に躊躇いがなくなる!
何度でもリセットさえすれば、人生はやり直せるのだと何処かで思い
込んでいるのだ!
私もお兄ちゃんも、母親も一緒だ!
私達家族は、手を汚した。
だからまた私とお兄ちゃんは手を汚す。
私は彼を別荘に連れて行き、お兄ちゃんに協力してもらい彼を殺した。
彼の死体は? “兄がお父さんを埋めた同じところに埋めたと言う。”
そしてまた、彼の行方は分からないまま......。
私もお兄ちゃんも半年たった今も捕まっていない!
これもそれも、“兄が優秀な警察官だからなのか?”
警察は誰一人! 私とお兄ちゃんを疑う者はいなかったのだ。
こうしてまた、私と兄は手を汚す。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。