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俺の青春をここに置いてきた  作者: あかりんご
1/2

出会い

アニメはよく見ますが小説は全く読まないので書き方も分からず勢いだけで書いてみました。

この作品は自分が失敗した青春の経験を元に書いた作品です。心残りがあったので書いてみました。

せめて物語の中だけは違う結果であって欲しいと願いを込めて書きました。

それで題名が”俺の青春をここに置いてきた”です。

ただひとつ言いたいのは今は幸せです。

あの時バッドエンドだったからこそ今の幸せがあると思うとそれはそれでよかったかもですね。

俺は藤咲 陽太(ふじさき ようた)今は普通の中学3年生だ。

取り柄も特になく人より劣っていると言われたら別にそんなことはない。バスケと言うなんの捻りもない部活に所属しているただの中学3年生だ。


「来週の土曜日は隣の神城東中学校と練習試合があるから朝11時半に現地に集合で」


部活動が終わったあとのミーティングで顧問の小坂先生が部員たちにそう言った。



ー練習試合当日ー


「はあ。やっと東中に着いたな。試合始まる前にクタクタだよ」


息を切らしてタオルで汗を拭きながら僕は幼馴染でバスケ部キャプテンのの岩本 和哉(いわもとかずや)にそう言った。


「こんなことで疲れとってどうするん。これから練習試合があるんぞ!」


和哉は元気いっぱいの口調で俺の肩に手を回してそう言った。


体育館に入るとそこにはもう部員たちは準備を始めていた。

起きてすぐにトイレに行っていないせいかトイレに行きたくなってきた。


「先生!ちょっとトイレ行ってきます!」


そう言って俺は体育館を出た。

トイレに駆け込み用を足した後に体育館に戻る途中廊下から女子テニス部が練習している姿が見えた。


「おーい!おーーーい!」


テニス部の女の子らしき子が手を振ってきた。

なんとなく手を振り返してみた。

少しずつこちらに近付いてくる。長い黒髪に少し日焼けしたまあまあ可愛いテニス部の女の子って感じだ。


「君、神城中の子だよね!」


俺の目の前に来て元気いっぱいに彼女は俺にそう言った。


「そうだけど、なんで俺に話しかけてきたの?」


少し冷たい態度を取ってみた。別に誰だか分からないしもう会うことも多分ないんだから別にいいかな。そう思った。


「うーん。。。なんとなくってやつかな!他校の子とあまり話す機会ないし!てか、これから練習試合だよね!勝てそう?どう?」


ニコッと笑いながら俺の顔を少し覗き込み彼女は俺にそう言った。


「な、な、なるほど。。。ま、まぁ。。。」


勢いがすごすぎて少し動揺しながら俺はそう答えた。


「もしかして人見知り?ごめんねっ!」


やっぱり元気いっぱいの声でそう言った。


「いやいや全然人見知りじゃないよただ君の勢いが凄いというか…」


「なーんだ。それならよかったよ!」


「俺これから練習試合だからそろそろ行くよ。じゃあね」


俺はそう告げてその場から立ち去ろうとしら彼女が一言。


「テニス部の練習終わったら終わったら見に行くね!」


そう言って走ってテニスコートに戻って行った。


自分も練習試合だからそろそろ戻らないとと思い歩いて戻っていると冷水機が見えたので少しだけ飲んで体育館に戻った。


「遅かったな。なにしとったん?」


和哉が俺に問いかけてきた。


「ナンパされてた。」


冗談でもないけど冗談みたいなことを言ってみた。


「おい!お前だけずるいぞ!俺もなんぱされてえよぉ。」


妬んでいるような少し怒っているような悲しそうにも見える様な顔で言われた。


「冗談だよ。ただ少し話しかけられただけだ。」


苦笑いしながら俺はそう答えた。


「なんだ。冗談かあ。でも話しかけられただけでも羨ましい。。。」


さっきより怒っているような表情は無くなったがさっきより悲しそうな表情になった。


「まあ、お前モテないもんな。」


自分で言ったのに和哉が少し可哀想だと思った。


「そうだけどそれは言わんといてや。」


やっぱり悲しそうな表情だ。


「ごめんって。とりあえず練習試合だけど頑張ろうな。」


可哀想に思ってきたしもうすぐ練習試合始まるから適当にそう一言言った。


「よし!みんな集まれ〜っ!」


タイミングよく顧問の小坂先生がみんなに呼びかけた。

体育館中に散らばっていた部員たちが一斉に先生の周りに円になって集まった。


「練習試合。怪我のないように精一杯のプレーをするように!」


顧問がそうみんなに伝えると


「オーー!!」


とみんなが叫びコートに俺と和哉含めスタメンの5人が並んだ。

そして礼を済ませたあとジャンプボールで試合開始だ。



1クオーターが終わった。点差は2点差で負けている。

歩いてベンチまで戻り座った。座ると中野一心(なかのいっしん)が後ろから団扇(うちわ)で扇いでくれた。少し細身の髪の毛がきのこヘアーの可愛い顔をした後輩だ。

今は真夏だし、コートを走り回った直後だ。ものすごく助かる。


「先輩。今日とても暑いですね。飲み物ちゃんと飲んでくださいね。」


団扇で扇いでくれながら笑顔でそう言った。

バスケの実力も後輩の中で一番だし気が利くし俺たちが引退した後は間違いなくキャプテンになるだろう。


「ああ、ありがとう。」


滴り落ちる汗を拭いて一心に渡された凍らしてから少し溶けたシャーベット状になったスポーツドリンクを流し込む。


「先輩!2クオーター目も頑張ってくださいね」


笑顔でコートに送り出された。



2クオーター目も終わり少し疲れが出てきた。

前日の夜に変な夢を見てあまりいい眠りが出来なかったからだろうか。

ベンチに戻り顧問に話しかける。


「小坂先生。少し疲れてきたんで3クオーター目は誰かとチェンジでお願いします。4クオーター目は出るんで。」


息を切らしながらそう伝えた。


「分かった。それなら変わりは誰にしようか…」


とちょっと悩んでいたので


「中野を出してみたらどうですか?」


俺は後輩の一心を勧めてみた。


「それじゃあそうするか。」


俺の意見が通った。中野のプレーも第三者目線で見るのは初めてだし少し楽しみだ。


3クオーター目が始まった。

一心は和哉や他のスタメンに負けず劣らずのなかなかいいプレーをしている。ディフェンスはまだ少しフィジカルが弱いせいか当たり負けしているがオフェンスはスタメンに負けていない。


(中々いいじゃないか)


心の中でそう呟いた。


3クオーター目が終わった。

点差は相変わらず4点差で負けている。

コートからみんながベンチの方に歩いてくる。

そして俺はベンチのひとつ横にずれて隣には一心が座った。

もともと身体が強くないのか分からないけどすごい疲れた表情をしている。


「大丈夫か?疲れたか?」


俺は足元に置いてあった団扇を手に持ち一心を扇ぎながら言った。


「全然平気です!」


目を輝かせながら一心が言う。


「無理すんなよ。」


やっぱり少ししんどそうに見えた。


「なんか扇いでもらってすいません。」


申し訳なさそうに言う。


「さっき一心もしてくれたじゃないか。いいんだよ。気にしなくて。4クオーター目は休みな。」


俺はそう伝えて小坂先生のところに歩いた。


「次一心下がらせて俺行きます。」


「分かった。」


そして最終クオーターにまたコートに戻った。


点差は4点差だ。さっき休んだおかげでだいぶ楽になった。

これなら思い通りにプレーできそうだ。


残り1分で同点まで追いついた。

ゴールを決めたあとディフェンスに戻ってポジションについていると体育館の入口にさっき話しかけて来た女の子が見えた。友達も一緒みたいだ。

目の前に相手がいるのに思わずよそ見をしてしまった。


「ドンッ」


相手にぶつかりよそ見をしていたのと足元が汗で濡れていたせいもあり盛大に転けた。


「ピッピー」


笛を吹かれた。ファールだ。大切な場面で完璧にやらかしてしまった。


「いたっ。」


立とうとしたが転けた時に足をひねったのか立てない。すぐに一心が駆けつけて肩を貸してくれベンチまで連れていってもらった。


「藤咲を保健室に誰か連れて行ってくれ」


小坂がベンチメンバーにそう言った。


「俺が行きます!」


一心が言った。


「一心は代わりで出てもらうからダメだ。」


「はいはーい!私が行きまーす!」


さっきの女の子だ。隣には友達らしき子も居た。マスクをしていて顔がよく見えないがボブヘアーの少し小柄。黒髪で清楚そうな女の子だ。同じテニス部にしては色が白い。

人見知りなのか体をもじもじさせている。


「いや、一人で行く。」


そう言って立とうとするがやっぱり痛い。


「まあまあ。いいから連れて行ってあげるよっ!」


ニコッと笑いながらそう言ってきた。


「分かった。じゃあお願いするよ。」


少し嫌だったが一人で行くこともできないし仕方がないから連れていってもらうことにした。

肩に手を回される。

そして立ちあがらせてもらい体育館を出ていく。

女の子は制汗剤のスースーした匂いがする。

体育館を出る直前には試合は再開されていたが申し訳ない気持ちと悔しい気持ちもあり振り返れなかった。


「大丈夫ですか。」


か弱い声だ。俺の斜め後ろから声が聞こえた。ちょうど体育館を出た辺りだ。か弱いがものすごく落ち着く声だ。


「ああ。はい。大丈夫です。」


何故だか敬語になってしまった。

敬語使われると敬語で返してしまうんだよなあ。

しかも大丈夫かと言われたが全然大丈夫じゃない。めちゃくちゃ痛い。


「あたしも肩貸しましょうか?」


真横に来てマスク越しの小さな声で言われた。なんとなくだが聞き取れた。


「大丈夫です。」


さっきのプレーもあり複雑な気持ちだったし痛いのもあるが少し無理をして笑顔を作りそう伝えた。その時初めて目が合った。少し恥ずかしそうにされた。なんだかこっちも少し恥ずかしくなった。

隣に来て気付いたがシャンプーと柔軟剤の匂いなのかものすごくいい匂いがする。すごい落ち着く。


「…………」


気まずい雰囲気になってしまった。


「ここの角曲がったら保健室だからねっ!」


元気な女の子がそう言った。気まずい雰囲気になっていたので結構助かった。しかも保健室に連れていってくれた。


(この子いい子だな)


と心の中で思った。


保健室についた。


「すいませーん!」


元気な女の子が大きな声で言う。けど返事がない。

鍵は空いているが誰もいない。とりあえず座りたかったので保健室に入り椅子に腰をかけた。


「ちょっと職員室行って先生呼んで来るっ!」


そう言って元気な女の子は保健室を飛び出した。


2人きりになった。また気まずくなるのがなんだか嫌だ。そう思った。


「あの子と同じ部活の友達?」


とりあえず気まずくなりたくないから話しかけてみた。


「いや、その、友達だけど部活は違くて見学みたいな感じで来たんです。」


もじもじしながら小柄な女の子は答えた。


「あ、そうなんだ。3年生?」


気まずくなるのが嫌だからとりあえず話し続ける。そればかり頭の中で考えていた。


「はい。3年生です。」


やっぱりもじもじしている。


「同級生に敬語で話されるの違和感あるからタメ語で大丈夫だよ」


急に何言ってんだろ俺。


「分かった…です。」


薄々思っていたがやっぱりタメ語は少し使いにくいらしい。


「あはは、、俺は藤咲陽太。君の名前は?」


少し苦笑いになった。けどとりあえず話を続ける事だけを考えていたから名前まで聞いてしまった。


言ノ瀬 瑞葉(ことのせみずは)です。」


真夏なのにマスクをしているせいか頬がすごい赤くなっている。


「珍しい名字だね。てか、顔赤いけど大丈夫?」


夏なので熱中症かもしれないので聞いてみた。


「だ、、大丈夫ですっ!!」


大分大きい声で言ノ瀬はそう言った。

急に大きい声を出されて少しびっくりして机を蹴ってしまった。


「いたっ!」


咄嗟に声が出てしまった。足首を見ると大きく腫れている。

そして言ノ瀬の方を見るとさっきも頬がさっきも赤かったがさっきよりも赤くなっている気がする。彼女の目線は俺の足に向いていた。


「大丈夫ですか?今氷で冷やしますね。」


そう言って冷蔵庫の方に歩いていく。


「あ、ありがとう。」


意外にも冷静なのに少し動揺した。


冷蔵庫から保冷剤を持ってこっちに歩いて来て俺の目の前にしゃがんで保冷剤を足に当ててくれた。


「ヒャッ」


ものすごい気持ちの悪い声を出してしまった。

しゃがんでいる言ノ瀬の顔を上から見てたので急に当てられてびっくりした。


彼女もびっくりしたのか後ろに転んでしまった。

彼女はスカートだ。それがめくれて俺はその時見てはいけないものを見た気がした。それが生まれて初めて女の子のパンツを見た瞬間だった。


純白だった。


「いてて……見ましたか?」


すぐに立ち上がってお決まりのセリフだ。初めての経験だがそう言われるのは漫画とかたまによむのでなんとなく分かっていた。なのでだいぶ前にこんなシチュエーションの時のための言葉を考えていたのがものすごい助かった。一生使うことないと思っていたのだが…


「パンツは見えた瞬間からパンツじゃなくなるから見てないのと同じだ!」


言った後に気付いた。完全初対面の相手ってことに。。

完璧にやらかしてしまった。


「…………」


死ぬほど気まずい空気が5秒ほど続いた。体感では10分くらいに感じた。気まずい空間の中色々考えた。次は何を言うべきか。とりあえず謝ろう。とりあえず土下座か…………


(思考加速中)


「あの!この事は誰にも言わないで忘れたことにして欲しいです。」


色々考えている途中だったがその言葉を聞いて怒ってないことが分かって少しだけ安心した。そしてちゃんと謝ろうと思った。


「あぁ、もう忘れた。そしてごめんなさい。」


「いえ、あたしも悪かったのでお気になさらないでください。」


ものすごく優しいから助かるが逆に優しすぎて怖いくらいだ。言ノ瀬の顔をチラッと見たが顔を真っ赤に染めていた…


「ああ、うん。ありがとう。」


彼女が悪くないのはわかっていたが彼女の優しさにすがることにした。そして沈黙の時間に入る事もなんとなく分かった。


「ドンッ」


ドアが空いた。

そこには元気な女の子が居た。


「いやあ〜、先生ちょっと外出てるみたいで後30分くらい帰ってこないってさ!」


「あぁ、そうなのか。」


咄嗟にその言葉以外は出てこなかった。


「あれ〜?なんか2人とも顔赤くない?」


にやにやしながら元気な女の子が問いかけてくる。


「いやあ、夏で暑いからなあ〜。」


適当に答えてみた。他に言葉が出なかった。


「ふーん?なるほどねぇ」


にやにやしながら顔を近づけてくる。顔の距離が近い。パンツがフラッシュバックしてもっと顔が赤くなってきた。

これはやばい。そう思った。


「ハックション」


くしゃみのふりだ。くしゃみのふりと同時に顔を逸らした。昔から恥ずかしい時や嘘がバレそうな時とかはこうして誤魔化していた。


「ティッシュいりますか?」


言ノ瀬が気を使って言ってくれる。


「大丈夫だよ。」


「足冷やしますね」


そう言って言ノ瀬はしゃがんで足に保冷剤を当ててくれた。

冷たくて気持ちがいい。


「そう言えば名前言ってなかったね!」


元気な女の子が相変わらずニコニコしながら言う。

「あぁ、そうだな。俺は藤咲陽太だ」


顔を逸らしたままそう言った。


「私は篠原 色羽(しのはらいろは)だよっ!よろしくっ」


「あぁ、よろしく。」


ここでやっと顔を篠原の方に向けた。やっぱり彼女はニコニコしている。


「てかてか、ツッタカター(SNS)してない??」


篠原は興味津々の顔で聞いてきた。


「あー、してるよ。フォロワーとかあんまりいないしアプリあんまり開かないけど。」


「ID教えてよ!」


そう言ってポケットから携帯を取りだしてツッタカターを開いているのが見えた。


「 @_______a????だよ」


「フォローしといたから後で返してねっ」


IDを言ってからフォローしといたの返しまでがすごい早かった。さすが現代っ子だ。携帯を自分の体の一部のように使いこなしている。


「あ、あぁ、わかった。家に帰ったらフォロー返しておくよ。」


「よろしくねっ!あっ、瑞葉もフォローしときなよ!」


篠原は言ノ瀬の方へ少し近づきにやにやしながらそう言った。


「あたしもフォローしてもいいですか?」


首を傾げながらそう言う言ノ瀬に絶対にNOなんて言えない。そもそも言う気がない。


「いいよ、帰ったらフォロー返しておくよ」


「色羽ちゃん、藤咲さんのID見せてくれる?」


そう言って足元に置いていたカバンから携帯を取りだしツッタカターを開いた。


「えっとねえ、@_______a????だよ!」



「言うのが早いよ。。」


言ノ瀬が困った顔をしている。


「瑞葉ちょっと携帯貸して!」


篠原はそう言って言ノ瀬の携帯を取りIDを打ち込んでいく。

やっぱり打つのが早い。言ノ瀬はどちらかと言うと携帯はあまりつつかないタイプなのかな?と二人の会話を聞きながら考えていた。


「フォロー出来た?」


「うん!出来たよ!」


「色羽ちゃんありがとう」


言ノ瀬の笑顔を初めて見た。マスクをして目元しか見えないがとても幸せそうな表情に見えた。


「藤咲さんもありがとうございます」


言ノ瀬はそう言ったが俺にはなにがありがとうなのか全く分からない。


「いえいえ。帰ったらフォロー返しておくね」


と答えた。いえいえは少し堅苦しい感じがするがまあいいかな。


「瑞葉って男の人と話すの初めてじゃないの?」


篠原が衝撃的なことを言い出した。


「うーん。話しかけられても上手く受け答えが出来ないからここまで話したのは初めてかもしれない。」


顎に拳を当て言ノ瀬がそう答えた。

たしかに人見知りだとは思っていたけどそこまでだとは思っていなかった。


「だよねぇ。陽太くんで人見知り治るといいねっ」


拳を握り親指を立て俺の方をちらっと見たあとに言ノ瀬を見ていてそう言った。

まだ言ノ瀬は足に保冷剤を当ててくれてる。


「おっどうしたんだ?怪我かな?」


急にドアの方から声が聞こえて来たので振り返ってみると昔は美人でしたオーラの出た40代後半くらいのおばさんが立っていた。

きっと保健室の先生だろう。


「はい。少し足をくじいてしまったので。」


少し申し訳なさそうに保健室の先生らしき人に言った。


「私がこの保健室の先生よ。ちょっと見せてくれるかな?」


「はい。分かりました。」


先生が歩いて俺の足元にしゃがんだ。言ノ瀬は先生が近付いてくるのと同時に立ち上がり後ろに下がった。


「あー、これはひどいねえ。病院に行った方がいいよ。」


少し可哀想な目で見られてだいぶ不安になった。


「分かりました。今日は病院に行きます。」


一気にテンションが下がった。

たしかに腫れ具合と痛み的にただくじいただけじゃないのは何となく分かっていたがなるべく考えないようにしていたんだ。


少し話していると病院には先生が連れて行ってくれるらしい。自転車を漕げるような状態じゃなかったし両親とも仕事中だったので助かった。


「先生。ありがとうございます。」


言ノ瀬と篠原とはここで別れた。


「じゃあまたねっ」


2人とも同時に笑顔でそう言ってくれた。

言ノ瀬が敬語を使わなかったのが少しびっくりした。


「うん。また。」

そう答えて別れた。




















































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