第1章3節 新たなエリアに向かう
「こいつ・・余り美味しくなーい。やっぱりお兄いに食べるものは選んで貰わなきゃ」
またワカナからアカネに声が届いた。それは念波のようなもので、ワクイには悟られる事が無かった。アカネも同様のその通信が出来る事によって、やっと片親との接点が出来るようになったのだ。ワカナは24時間子供達を見守っていた。彼女は不眠でも全く大丈夫なのである。ワクイは、その点で言えば人間の活動範囲の域は超えてはいないようだ。ただ、天才的科学者である事は変わらないし、この500年間にその知能、知識は更にレベルアップもしているのだろう。だろうとは、誰もそれを推し量れぬからだ。ワカナさえも自分の能力が把握出来ない。それを活用すべき場面も無かったからだが、このアカネとの通信は、彼らを再びしっかりと繋ぐ・・血の連環の如く・・
「アカネ、シンゾウから与えられていた食事から、今は自分達で得た食材を口にするのだけど、シンタに必ず食材は選んで貰いなさい。心無しか、昨日の貴女より少しパワーダウンした気がするわ」
「え・・うん」
そうなのだ。外に出てからの食事は、シンタが良いよと言うものしか口にして来なかった。アカネにとって有用な食材は、無限大にでも腹に収める事が出来るような気がするが、今回自分で倒した怪物は、不味いと言う事は無いものの、何故か少し食べただけで満腹感を覚えるのであった。そして、自分でも思うが、昨日よりさっきの怪物を食べた事でパワーダウンを感じたのだ。それを母ワカナがすぐ指摘した。こんなにどこに居るのか離れていても、それを感じる能力・・これも今までワカナ自身でさえも気づかぬものだった。
しばらくして、眠くなったアカネが目を閉じ、すやすやとしだした所で、シンタ達が感車の所まで戻って来る。ほぼ原形の無くなった怪物の残骸を見て、




