第1章3節 新たなエリアに向かう
ここは荒野と言う表現にぴったりのゾーンのようだ。所々に大きな茶色の岩石が転がり、その合間を埋めるように疎らな背丈程の雑草、灌木が茂っている。その植生も非常に多彩ではあるが、今までのAゾーン、Bゾーンとは様相が違っている。隠れていて他の「怪物」と表現しているが、大小のこの奇妙な生命体は、シンが過去にデータに収めていたどの種とも違う。中には形態や、その体色すらも変化させる個体もいる。そして、その全てが自分のレベルに関係無く好戦的なのだ。出会った瞬間に大きく口を開けて襲って来るのである。つまり、ここでは食する事が第一義なのだろう。それにアカネのように丸焦げをさせれば再生はしないが、その肉片、断片の一つからでも彼らは再生する。つまり無限増殖を繰り返すのだ。とてもやっかいな生命体ばかりなのである。
「ここは、とんでもないわ」
シンタが嘆息する。相当の怪物達を倒しながらも、尽きぬ戦いに少々嫌気が差していた。
その時アカネが言う。
「お兄い、ママリンからの伝言」
「おう!」
シンタが、目の前に現れた象程の大きさの怪獣を倒し、振り向いた。既にその切り刻まれた怪物は、さっと他の怪物が肉片を加えて走り去る。また肉片は再生をし始めている。




