第1章3節 新たなエリアに向かう
「うおっ!アカネっ!お前っつ!何をするんだよ、いきなりよおっつ!」
怪物達と戦っていたリンドウ達が、その巨大な炎に飛び退き、シンタも上空に舞い上がった?そう、シンタは既にそんな事すら可能なような跳躍力を知らぬ間に身に着けていたのだ。だが、本当に飛翔したのでは無い、すぐ離れた所に着地する。リンドウは少し違う。すばしっこさでは群を抜くだろうその飛蝗のような跳躍力で、アカネの炎を避けながら、更に怪物達を切り刻んで行く。彼が以前切り刻んだ怪物達は即再生をしたが、今度はなかなか再生をしなかった。それは長刀の扱いがバージョンアップしているのだ。やはりガラークと戦い、且つ食った事でレベルアップしているからだろう。しかし、リンドウには分かっていた。シンタ、アカネには今は実力から見ても遠く及ばぬと。そして彼らの成長力には、とんでもなく今は追いつかないなと。自分は、このペースで自分なりに能力を上げて行くしか無いし、家族と言う言葉は何故か懐かしい気がしたのだった。それは、そんなに悪いものでは無いと思った。このままで居心地も悪くは無いし、自分は十分に上って行けると感じるからである。
アカネは、当面の敵である怪物達を相当数丸焼きにしたようだ。
「ふうっつ!何か腹が減ったね、お兄い、リンド」
アカネはリンドウをリンドと呼ぶ。それで良い。どんなに呼ばれようと構わないし、アカネは全て何事にもナチュラルなのだ。自然体で自分の考えも行動も隠さない。それに誰よりも耳が良いのだろう、自分のママリンの助言を聞きながら、今は動いているらしいし、シンタもアカネの指示に従っているようだ。リンドウは彼らの動きに合わせる事にした。それが今一番有効な手段であると思うからだ。




