新章 宇宙特進路と、改造宇宙船
「はは・・無いです。それと、これも貴方に初披露するのですが、確かに生前にある大学の若い先生と私はとても良く話をしておりました。孔明さん、それは貴方と同じ澄んだ眼をしておりました。恐らく貴方は、私と同じ時代に生きられた方だと思っておりますが、今それを香月一男と貴方は明言されました。しかし、残念ながらその記憶は恐らく殆ど無いんでしょうね」
その言葉に少し孔明元老は反応して、少し間が開き、
「あの・・これは私も初披露するんですが、私のM地区脳の時に、SKIから、何だか懐かしいような声が聞こえたのです。確か・・香月博士の言葉が残っております」
「あ・・まさか・・」
沢木元老は眼をくりくりとさせた。
「驚かれて居られる・・実は、ずっと私も過去時代の記憶を呼び覚ますべく自分の記憶媒体の中を検索しておりました。或いは、貴方からの情報がインプットされていたのなら、それは私の記憶ではありませんからね」
「それは、無いです。私がコンタクトじた時点で、そのような自身の記憶を貴方に流入させる事等ありません。誓って言います」
「あ・・それはそうでしょうとも。私もそう理解しております。では・・私が呼び起こした香月博士と言うのは、もしかしたら、何度目かの輪廻の中の一人であったと言う事になるのでしょうか。私は競翔鳩を飼育しており、S工大に居て・・」
「お・・おおお・・」
沢木元老の眼から大粒の涙が零れた。
「では・・本当に私は生まれ変わり、沢木さんと今一緒に存在している?」
孔明元老の眼からも大粒の涙が零れた。それこそ、この一連の【白い雲】【隻眼の竜】一連から続く壮大なスケールの話延長上にこれがあったと言う事になる。そして、二人は、ある重大な事を共にこの後気づくのであった。




