新章 宇宙特進路と、改造宇宙船
肩をポンポンと叩く雄太だった。そしてとうとう大プロジェクトが発進するのであった。
つまり、宇宙へ宇宙船が飛び立つ計画こそ、ビリヤン電脳の野望であり、クローン技術を高めていたのも、その望む星に移住する為の遺伝子保管であった。全てを優達は理解し、その正しい情報をSKIに渡した。本来そうなるべきで、主体になるべきは電脳では無いのだ。その1点を頑強に優は手放さずにここまで来たのだった。だからこそ、危うくビリヤン星電脳にそれを付け込まれる寸前を回避出来たのだ。
何故宇宙船製造工場があったのか・・全てはそこに謎が詰まっていたのだった。
「パイプ型宇宙特進路・・これがビリヤン星電脳の狙いだったのか」
サネアツが唸った。
ダナンが、
「うううむ・・凄いな。宇宙特進路は確かに生体としての移動は可能。しかし、この宇宙船はこの形状をパイプ宇宙特進路に合わせていたのか・・」
「正確には、ダナン、パイプ宇宙航路なんだよ。この航路を通れば阻害物は皆無となる。それに、元々あるんじゃなくて、宇宙船にバリアの様な膜を張るんだ。この先端科学こそ、ビリヤン星の最後の砦だったんだ。その為にジャーク星にどんな存在も立ち寄らさないダミー帝国を創設したんだよ」
ジダンが答えた。
「そこまで演出すべき、やはり優トップの言うような脅威の存在があったと言う事なんだね?」
「そうだ。ビリヤン星はあくまでも攻め込まれて瀕死の状態であり、ジャーク星が数々の星を攻め続ける存在。そうする事によって少なくてもこの3光年内宇宙には進出してくる可能性のある他星人達を牽制していたんだよ。そして、逆に捉えれば、この数万年先の星に攻め込んで来ようと言う強敵なる星があると言う事になる。じゃなければ、こんな演出までしないだろ?例え恒星が消滅しようとしていても、このパイプ宇宙航路を使い、攻め込んで行けるだけの宇宙船を用意しとけば良いんだから」
「クローンはその為の軍隊になる・・?」
「ああ・・その為のクローン工場さ。それも相当に高度な技術だ。恐らくその異星の技術を盗んだんだろうし、宇宙船もそうさ」




