異世界との戦い編
頷きながら、雄太は、
「ああ、そうだよ。今まで俺達がやって来たのは全て現実対応だった。今もその立ち位置で物を言うけど、ワクイ型怪物を滅する事が出来た主因を君は知っていると思うが?」
「何でその話を今?ふふ、雄太節ね、この論法は。ええ、要因は色々あるけれど、ワクイ型怪物を結果的に滅する事が出来たのは、3種のウイルスよ。つまり耐性型の抗体を持っていなかったから」
「そうだね、結果的に俺達は、地球に存在し続けていたウイルス・・それも南極に閉じ込められていた分厚い氷の中から、それを発見し抽出した。勿論透明素子を駆使し、あらゆるアタックをした中での、有効攻撃であった。今回の異世体についても、ある一つの疑問が先にあるんだよ。まず、それから話をさせてくれ」
「何だよ、雄太。それなら、美恵子にこの場を任せるよりも、お前が先に喋っていたら、良かったじゃないか」
優が苦笑する。サネアツも、他のメンバーも笑っている。
「いや、美恵子博士の話はとても重要なものだし、人口問題も先に聞いておこう」
「まあ!結局、支離滅裂な議論だわね。良いわ。何を先に聞きたかったのかしら?」
美恵子は両手を広げた。
「今の人口は1000万人推定数だが、この人口は5000万人に到達するのが、何年後になるだろうか」
「そうね、約1000年後かも」
「え!不老不死個体がほぼ大多数の人型生命体だけど、5倍になるのが1000年後?」
雄太を含めて全員が少し驚いた顔をする。
「そうよね、色んなカップルが誕生し、混血も進む中で、旧時代の人口問題に比せば、とても遅速だわ。でもね、子孫を残す行為とは、自身の死があるからよ。その為に次世代に続く子孫を増やす為には一カップルから相当数の子孫が必要になる。でも、考えて見て?今の状態で、食も充足し、天敵も居ない状態なのよ。今のペースであれば、これは最大数とも言えるわ。仮に1億人に達する未来は、一万年以上先になると試算出来る」
「むう・・じゃあ、前世において、人口減に歯止めが利かず、人工授精をしていた時と変わらないじゃないか」
雄太が沈んだ顔をする。




