第二部 突如新世界が広がる
「それは、具体的な観察が成されている訳ですよね?」
「勿論だ。その前に宇宙論ではリンゼ君、君は画期的な多元宇宙論の中から隣接する一つのこの宇宙から派生した泡宇宙の存在を唱えている。丁度良い機会だ。ここで披露して見てくれ」
「あの・・それは、自分のその研究とこの会議がリンクすると言う事でしょうか?」
「ふむ・・私には君達の全研究データがインプットされてある。そして、その中から他の説や、論文もある。君の言う通り関連もあるので、そちらの学説を披露して貰おうか」
「はい・・では、簡潔に申しますと、言われて来た多元宇宙には恐らくこの3次元宇宙から進入する事も、他の多元から進入して来る事も不可能だと思っております。しかし、太古からの目撃談もある、異次元からの進入は、これとは別にあると言うのが私の研究です」
「そうだね、ここには君の研究が理解出来ていない者も多数居る。然しながらそれを異義として突っ込める者も極端に少ない。ダナン君、君も良い機会だ。その異義を唱える君の学説も聞こうか」
今度は銀髪の少年だった。シンが登場して来た新時代を彷彿とさせる銀髪の美少年である。こちらもトップ5の知能指数を上回る超天才少年の一人だった。
「これには、互いに何度も闘わせて来た多元宇宙論、無限宇宙論とありますが、20世紀に唱えられた相対性理論を基調にしているのに過ぎません。その数式を当てはめてこの存在を証明しても、数値で表せない領域が出て来ます。リンゼ君もその一人であって、この領域がつまり、現我々が住む世界と交錯した泡宇宙の一角であると言う考えに立っているのです」
リンゼは、
「ダナン、君の言う宇宙論は、無も有りと言う考えだ。この世界が17の素粒子で構成されており、現世界もその方程式上に成り立つ。その上でくっついたり離れたりする時に、ある空間が生まれる。つまり、その空間に流れ込んだのが泡宇宙であり、常にこの世界と隣接するのだよ」




