第二部 突如新世界が広がる
やはり混沌の世界が一時の休息を得たかと思える数百年が経過し、人類は旧時代とはまた違う生活を始めたのだが、そこには文化的な前時代の都市空間等は無かった。大地で自由に闊歩している姿があるだけだった。
だが・・しかし・・重大な事がこの時代になると発覚して来たのである。
西暦で言うと、既に3500年の世界においてだった。
平原は青々とした緑に囲まれ、小型の肉食獣は居るものの、人間生体を阻害する種はもう居なかった。海中においても一時猛烈な勢いでダイオウグソク虫が繁殖したが、ここにも適性があったようで、暖かい海面や、水深200メートル以上には進出して来なかった。又、この海中にイルカのように住める人間生体が誕生しているのだ。先に述べた亜種系統、つまり水適合生体である。もはや、人間と言う枠は敢えて超えてしまったのかも知れない。髪の色、それぞれも体格も様々だが、言語だけは共通であり、それぞれに争ったり、競い合う・・事は多少あるのかも知れないが、大きな諍いは無い。その必要性が無いと言うのが、食を満たされれば、そこで奪い合い戦いに発展する事は無くなるのである。今の所豊富にある食に困る事は無かったし、『龍の巣』も健在で、やはりSKIを始め、研究部門はここで研究を行っているのであった。
一方、研究と言う進化は相当に進んでいて、SKIが相当今まで難解で証明もされていなかった宇宙論が飛び出して来ていた。勿論トップ5は健在でこの世界の統治者に近い存在である事に間違いは無いが、敢えて表に出る事は無かった。
この間に相当の優秀な技能系、研究部門系の者達が育っていた。彼らはその指導及び研究を進めて来たのである。
SKIが研究施設の全員に、新に創設している。地下大空洞の部屋に集合をかけたのだった。
冒頭で、いきなりSKIはこう言った。
「現在、様々な検証をこの100年間に渡り積み重ねて来た。この数年に、奇妙な現象があちこちで観察されている事は承知の上だと思うが、これは新たな怪物が登場したからでは無いと言う検証結果が出ている」
手を挙げた者が居る。近年天才型の者が複数現れて、知能指数的に言うと、トップ5を遥かに凌いでいるのだ。その一人である。シンタ血族の第15代下の者である、リンゼと言う金髪の少年である。




