共闘戦線
歴史は、ずっと続いているのだ。人類が終わりを迎えない限り。どんなに形態が変わろうが、特殊能力が備わっていようが、彼らも現時代の人類だと言う事だ。
「ぐおおおおおっつ!」
特級怪物の一種である、ガマルが、地上に響くような声を張り上げた。デマルガーも、このガマルには戦いを挑もうとはしなかった。いや、戦闘力においては、地上で既に1~2位を争う、個体数こそ30頭に満たないので、遭遇する事も稀なのだが、旧時代のサイを相貌させる形態で、やはり剛金属的皮膚で覆われ、走力が半端では無かった。ここに重戦車を持ってしても簡単にひっくり返されるだろう、突進力を誇っている。デマルガーでは相手にもならない怪物なのだ。そのガマルに唯一単体で対応出来るのはがケンゾウなのだ。走力はほぼ互角である。ケンゾウより速い者は勿論居ないし、犬族カーン軍隊も走力は高いが、ケンゾウには及ばないのである。そのケンゾウがガマルと対している。
どどどどどど・・ガマルが突進して来る。他の周囲に居た怪物は全て逃げて行った。逃げもしないケンゾウがそこに居るのである。
「あ!ケンゾウ軍団長、何故逃げないですかっ!」
その場を空中から見ていた、コモリゴン空挺部隊のミライと言う部隊長が叫んだ。
「ミライ!見ていろ。ガマルにだって弱点はある筈だ。突進力は流石だが、こいつには敏捷性が無い。それを確かめているのさ」
もうぶつかる寸前で、ケンゾウはさっと身を躱すと、数十メートル走った後、ガマルは再びケンゾウ目掛けて突進する。やはり寸前でケンゾウは身を躱す。まるで闘牛場に居るようなあしらいが何度か続いた後、流石にガマルは立ち止まり、この不思議な遥かに自分の体より小さく弱そうな対象に向かい合った。
「ほう・・知能が無いように思ったが、流石に悟ったか。そうだよ、その走力と破壊力があれば、大抵の怪物達は倒せるだろうし、敵も少ないだろう。だがな、ガマル、お前と同等に走れる生体もこの地上には居るって事だよ」
不適に笑うケンゾウには余裕があった。そして、有り得ない行動をする。今度はケンゾウがガマルに突進したのだ。自分の体の20倍はあるだろう。弾丸のような体のガマルにである。




