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者々共出会え!  作者: 白木克之
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共闘戦線

 戦況は大きく変わっていた。海の中では、無敵を誇った深海鮫バルーが駆逐され始めたのである。有益か無益かと言う選択になれば、この種は無益しか生まない。破壊と破滅しか無いからだ。ただ、SKI軍が広大な海に限られた兵力を投入するよりも、ダイオウグソク虫・オオグソク虫等の亜種が出現後の海は変化していて、逆に深海様鮫バルーがその虫を食った事で、軟体になった体が他の海獣達に食われたりする現象が多発していて、大きくその数を減らしつつあったのだ。その上で集中的に、一つの海域で深海鮫バルーは、主にキラ別団軍によって次々と滅せられていた。こうして海の支配は大きく変わろうとしていた。陸上と比して、海は広大で食の需要は多い。つまり、大きく形態変化をする種は殆ど居なかったのだった。


「深海鮫バルーの棲息数は分かっていないものの、この海域では回遊もして来るのだろうが、眼前には殆ど居なくなったな」


 キラ別団長の言葉だった。シンゾウの『潜水艦大和』の副官も務めていた優秀な元帥直属の軍士である。今は、アカネ血族のユミと結婚をし、その生体種がやがて未来には一つの方向性に向かうように混血が進んでいた。不思議な能力も全て一族は持っているし、海に長時間潜れる孫達が育っても居た。ようやくこの海域で深海鮫バルーに警戒しながら潜る事はしなくても良い日が来るだろう。

 優達は、このキラの一族を、水性受動体と呼んでいる。シンタや、リンドウにもそれはある。ただ、この一族のように、2時間、3時間平気で潜る事は出来ないし、相当の深海まで潜水可能だと言う事を聞いている。どうやら、肺に気泡を溜める事の出来る特異体質のようだ。そんな子孫達が混血する度に、色んな特殊能力を秘めた者達が出現しているのである。

 だが、幾ら眼前に深海鮫バルーが見えないからと言っても、周囲には海獣がうろうろしている訳だし、生身の人間生体が海中を自由に潜水する事は不可能に近い、そこで、シンゾウは『潜水艦大和』を超久し振りに出艦させたのである。深海鮫バルー以外に、この潜水艦に体当たりをしてくる生体は皆無であるし、サネアツがこの待機期間の中で、かなりの改善をしている事もあっての試運転であった。もしやの時には、海中バリアと言う新機能も備えてあったし、全速力で逃れば、深海鮫バルーも追いつけないのだ。

 SKI軍が何の目的もなく、また対策もなくこんな出艦をする事は無い。キラ艦長に託した思いがある筈だ。


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