とんでもなく進化した世界では・・
「だね、良くやってくれたよ。で・・ケンゾウ君には、その罪意識があったようだけど、この世界の現状況からして、そこは人間としての君の善性は評価するが、もっとドライに割り切って欲しい。言っておくよ、一瞬の躊躇は逆に自分の身を亡ぼす結果になりかねない。ケンゾウ軍団長、あの場面で、アカネ軍団長のサポートが無ければ、君の死角に居た一体の尾に君は弾かれていたんだよ。幾ら不死身の君とは言え、危なかったかも知れない」
「えっつ!アカネが俺を・・」
「ふ・・サポートするって言うのは、つまり、あたいの役目だよ。だって、ケンゾにも何度もあたいが助けて貰っているもんね」
「そうか・・そうだったのか、サネアツさん、それを言いにここまで来てくれたんですね」
ケンゾウが、サネアツの真意をようやく理解したのであった。
このように、この強敵は一瞬たりとも油断してはならないのだ。明日にも滅却される側になるかも知れない立場である事を再自覚せよと言う指摘でもあった。
SKIが、ケンゾウに直接脳波に言葉を送っている。
「ケンゾウ君。その感覚が絶対に必要な我々人型のものなのだ。そして、君とアカネ君のこれから先の血脈・子孫はその感覚を持ち続けて行くのだろう。何故戦うのかの疑問も、こうした一面において無慈悲に思える戦いも、眼前で焼き殺すと言う残虐な行為でさえも、確かに君の生きて来た中での負の感情なのだろう。しかし、こう言う事なのだよ、地球にとって、最後に残る者とは決して弱肉強食の世界に君臨するものでは無いと言う事を。こう言う生体がやがて地球を席捲した時の世界は、ワクイと言う存在を否定した時からずっと考えて来たし、これからも自問自答の中で悩むだろう。苦しむかも知れない。しかし、君は、この瞬間をも忘れてはならない。私がその方向性が間違いであったと言うのなら、それは、私が消去されるだろう・・」
ケンゾウはまたはらはらと涙した。隣のアカネが、
「ケンゾ、あたいはあんたの気持ちが分かっている。けどさ、共にあたいは傍に居る。そして、あたいと一緒に考えて行こうよ」
「お・・おう」




