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第1章2節 自分達と同族か?
シンは、その時もう500年生き延びた唯一の旧型地球上の人類になっていた。その寿命もすでに尽きようとしている時に、彼女にこう言った。「もしや、ワカナさん・・貴方も別系統の人類であるのかも知れない」と言う。シンは、「その事を私はもう問わぬ。そして孫が出来る可能性を持って、この永らえた生命を、せめてその孫達に伝えられる事は、可能な限りしたいし、もう十分過ぎる程生きて来た。この先の未来も自分には分からぬが、家内・・アマンが居るだろう世界に行きたい、仲間にも会いたい。ようやく永かりしこの人生を閉じたいのだ」・・と。
ワカナは、そのシンの言葉に何か憂いに似た感情が沸き起こった。我が父と執拗に言うワクイとは違うものをシンから感じたのである。
今の自分にはどうする事も出来ない。しかし、子供達は何も教えなくても全て出会う未知の生物に遭遇しながらも、成長しているのを感じた。ワカナは大きな声で空間に向かって叫んだ。
「貴方!シンゾウ!早く復活し、子供達を助けて!」




