とんでもなく進化した世界では・・
「今の会話を捕捉説明すると、我々が10エリアに分けているこの大陸は、細長く、我々が存在している『龍の巣』は丁度温帯地域に位置し、年間気温も安定している。旧地球との環境変化もあって、現在の地球は人類が排出した温室ガスによって、温暖化が進んだ時代から一変し、また地球の地軸が90度回転した事も含めて、AからBゾーンは比較的気象も安定し、年間平均気温も20度前後だ。我々の地区はこのBゾーンにあたる。丁度現地球の北極・南極に対して、北のゾーンに当たる最も広い地区になる。Aゾーンは、このBゾーンの南北に帯のようにあたる地区であり、今デマルガーⅢタイプはA~J地区の最北端に位置する。つまり北極点に近い所だ。ゾーンはA・Bゾーンを基準に北側をB・F~J、南側をB・C~Eゾーンと区別しているんだよ」
「何か、複雑そうな区分けですね」
ケンゾウが首を傾げた。
「ああ、それは所謂偏西風の流れに左右されてね。温度帯別の区分けなんだよ。単純に言うと、Jゾーンにおいては、-10度前後まで下がる現地球上でもっとも寒い地区なんだ。いや・・例外的にDゾーンに属する旧南極大陸である、M地区は、分厚い氷がまだ残っているから、これより寒く-20度であるが、ここにはデマルガーは一体も居ないんだ。この地域に住める怪物種は極く僅かしかいないし、海で分断されている」
「じゃあ、デマルガーは一応棲み分けが出来ていると言う事っすか?」
「いや・・そうでもない。ただ、デマルガーⅢ型はそこに適応したようなんだよ」
「でも、それなら、猶更ここの温帯地域に進出して来た理由が分からないんだけど・・」
「まあ、そうだね。それを今から説明しようと思うんだが」
聞いていたアカネが、サネアツが順を追って説明をしてくれているのは分かっただが、学者らしいその説明に少し苦笑している。ケンゾウの場合、そんな説明よりも何故ここに居るのかと言う情報であるので。
「つまり、デマルガーⅠを脅かす特級レベルの怪物がそこに居ると言う事だ。彼らは追われてこの地区に逃げて来たんだよね」




