とんでもなく進化した世界では・・
ケンゾウの眼には、うっすらとその強い言葉とうらはらに涙が滲んでいた。尤も残酷な方法でデマルガーⅢを駆逐しているのだ。そのケンゾウに自分の夫でもあるアカネが駆け寄った。
「ケンゾ!ここで泣いたら駄目だよ。あたい達は、無垢で無抵抗の相手と対しているんじゃない。こいつらも再生する。けど、その時に今度はあたい達もこうなるかも知れないんだからね」
「ああ・・うん・・うん、分かっている」
ケンゾウは眼前で溶けて、もう姿も消えようとしているデマルガーⅢを凝視したままだった。カーン軍は、実は遠巻きに見ている、デマルガーⅠ型をけん制する目的もあったようだ。この燃え盛る炎を見て、デマルガーⅠ型も耐えられるかどうかを恐らく想定していたのかも知れない。彼らは非常に知能が高い、これを学習すれば、同じ手は恐らく食わないだろう。
アカネが言う。
「ケンゾ、この手はデマルガーⅠには通用しないよ。あいつらは、高熱の耐性を持っているんだ。攻撃力は他の3種と変わらないけど、このⅢ型はその耐性を持っていなかった。だって、こいつらは、冷温地域をエリアにしているんだから、そんなものは必要無かったんだよ」
「初耳だ・・じゃあ、この温帯地域に何故進出して来たんだ?」
ケンゾウがアカネに問うが、アカネは
「分かんないよ、それはあたいにもね」
ケンゾウがⅢ型を滅却した事で、幹部会議が開かれた。そこで、サネアツが、その理由を彼らに告げていた。




