とんでもなく進化した世界では・・
「簡単には行かないっす。デマルガーⅢは結構しぶとい。反撃にあって、こっちも痛手を相当負ったっす」
リンドウの言葉だった。ケンゾウが進み出た。
「俺に代わってくれ。いや、俺にここは任せてくれないか?リンドウ」
「あ・・おう」
何時もなら完全に拒否するだろうリンドウが、ケンゾウの並々ならぬ眼光に少し圧倒されて、この場は譲り、自分は後退をした。その時点で、アカネ、スマ、ララ連合軍は既に200体のデマルガーⅢを滅却させていた。
既に50体になったデマルガーⅢに、ケンゾウが対する事になった。尤も、50体はリンドウが反撃も負いながら、滅却させてはいたのだ。残ったデマルガーは学習していた。つまり、攻撃だけでは無く、引くと言う手段もあると言う事だ。彼らの知能は確かに高い。己が最強であるとのまだ自覚は無かったようである。敵わぬ敵には引くと言うのも戦略なのだから。
「おっと、その尻尾は飾りなのかあっつ!デマルガーよ!」
ケンゾウが大声で怒鳴った。デマルガーはSKI軍で一番膂力も強く、組み合っても互角のこの男を知っている。これだけSKI軍には強い個体が居る事の認識は、実際闘ってから学習するものだ。そして、新たな攻撃である、火器を使用すると言う武具をも駆使し始めたSKI軍は、とても手強い相手だと認識し始めたのである。これは、シンゾウの目論見が一応成果を示した事にある。
一方同時期に、今度はシンタ軍がデマルガーⅡタイプと戦っていた。シンタの跳躍力は飛び抜けていて、そのサーベルは幾体ものデマルガーを倒していた。そして、再生出来ないようなある弱点を発見していたのである。デマルガーはシンタを警戒し、恐れたのだ。これこそ、デマルガー出現以来、初めての事である。
「デマルガーⅡ生体は、数が少なく36頭です」
報告が来ていた。シンタは、その内5体を滅していたのである。驚異的な身体能力とシンタもその内部にある、特殊能力を開花させようとしていた。デマルガーは全速で逃げて行く。




