どちらが先か
デマルガーを攻撃しているのは、SI軍基地を攻撃した時と同じである。このデマルガーにも弱点はきっとある筈だ。その検証を、シンゾウ、ケンゾウ、リンドウが行っているのである。共に優れた武将と彼らは呼ぶ。トップ3とも言える能力、知力を兼ね備えた将軍達である。
「ふうむ、なかなか手強い奴だな、深手を負わせても、再生力も強いのでなかなかだよ」
シンゾウがぼやいている。ケンゾウ、リンドウも同じ事を言っている。
「こいつも勿論相当バージョンアップしているが、特級クラスの怪物の中で、まだAランクでも更に特がつく、エベラーや、深海鮫バルーには歯が立たないようだ。まあ、こちらも今の所、どうしようも出来ない奴らなんだがな。特に深海鮫バルーは『潜水艦大和』の平常時だと、ぶつかって来るもんなあ、感車モードにしても、こちらは、図体がでかいから、長い時間持たないって弱点があるんだよ。今は『潜水艦大和』も、格納庫にある状況だからさ」
ケンゾウが頷いた。
「確かに、今出動出来る体制にはありませんね。バルーは益々強くなっている。その内『龍の巣』の洞窟入口も齧り始めるんじゃないっすかね」
「ううむ、有り得るが、今はバルーも陸上にも攻撃をしているようだ。要するに捕食対象がそこに居ると言う事だからな」
「でも、何でも食う。以前のデマルクがそうであったように」
「ん・・?まあ、そうだな」
シンゾウがリンドウの言葉に少し反応した。
確かに『深海鮫バルー』は、出現当時には、所謂鮫皮と呼ばれるが、サンドペーパーのような硬い被膜であり、現在の鮫と変わらぬものであったが、どんどんとその皮革の硬度が上がって行き、攻撃力もとても飛躍的に伸びていった。デマルゴンも、海中に進出した当時はとても強い個体だったのだが、現在では押されていて、数も少なくなっている。そして、再上陸をしているのだが、この2種はとにかく進化スピードが速いのだ。いずれにしても自分達に立ちはだかる強敵だった。人類は、こうして紆余曲折しながらも、どうにか一つにまとまりつつある。長い目で見れば、彼らは現地球上の状況を見て、互いに同族で争うべきでは無い事を選択したのかも知れない。ならば、本当の敵とは一体何だったのだろうか。この疑問は尽きなかった。




