第1章2節 自分達と同族か?
ワカナにとって、現記憶とはその夫シンゾウと地球上で突然の出会いからだった。驚きと共に、初めて目にする自分と同じ姿を、これは人間型なんだとワクイは言う。彼も、また壊滅した筈の地球上にてその姿を見て、非常に驚いたと言う。そのワクイの驚きの隙に、彼女はその空間から脱出したのであった。そして、彼女にとっては幾多の怪物もその相手とはならなかったのだ。どの怪物も彼女には向かって来なかったからである。彼女には、自分の姿を隠せるある種の能力が備わっているらしい。らしい・・とは、ワカナ自身もシンゾウとその父シンに地球上で出会うまでに、ワクイと言う存在が、その500年前に地球を脱出した者だと言う情報が得られるまで知らなかったのである。
しかし、こうして経過を今は省くが、自然とシンゾウと夫婦になったものの、隠れて過ごすワカナだが、ワクイの影は常にあった。シンゾウの親である、齢500歳である旧時代唯一生き残りであるシンの言う事には、この地球は完全に人類が滅亡したと思える。しかしながら、もし一早く地球再滅亡の危機を知り、宇宙に脱出したワクイが戻って来たとしたならば、まさしくそれこそ、彼によって地球再生目的の願ったりの姿であり、最高のシチュエーションなのだ。だから、唯一の人類の生き残りとして、シンも正確に言えば、新人類にあたる部類の者ではあったが、シンゾウと言う自分の妻アマンとの間で得られた唯一の子は、もはやこの子も旧人類とは違う系統となってしまうのだと言う。




