どちらが先か
優達は急いでいた。つまり、デマルガーの形態変化が先か、自分達の肉体改造が先かの話なのだった。武力と言うか、この怪物達に重火器を使うなと言う指令が入っていた。むしろ、そんな重火器等は今後生産もしないし、必要無しと言う方針を出したのである。しかし、素手で人間体が、どの怪物達に適う筈も無い。そこで、サーベルや、スティック、ブーメラン、弓、吹き矢等の武具は自分の手で操れる物と限定し、また必然的に彼らには武装も必要であった。徐々に不老不死では無いものの、再生出来る体は最低限必要と言う事で、エフゾーンの者、エムゾーンの者、メバチック、アミー軍団はサネアツが開発した、再生素子を体に埋め込む事で、寿命が延び、超再生が可能になった。既にメバチックもアミー軍団も人間体同様の体を手に入れていた。そうなる事が、むしろ彼らにとって望ましいと認識されたのだ。この地は、やがて人間体が繁栄すると言う目標が設置されたのである。そして、それは能々(よくよく)考えて見ると、ワクイが人間のDNAを利用して、地球大事変の後に解き放った者である事も分かって来ていたので、人回帰の話になるし、そこでは性欲も勿論あると言う事で、自然繁殖が今後も復活する方向性が出来たのである。
彼らが何をしていたか、先にシンゾウが手を挙げているように、当然戦っていた訳である。この戦いと言うのはやはり避けられない事だった。弱肉強食の世界においては、SKIが唱える方向性は無い。食うか、食われるかのシンプルな論理なのだ。
だが・・そうでは無かった。もうデマルガーは言語を訳し、言葉を持っていたのである。この段階において。メバチックも言葉が進化して、日本語を話すまでになった。
「デマルガー・・我々の生息地まで脅かす存在だ」
メバチックの怯えた言葉であった。戦団を組んでいても、メバチックはもう彼らSKI軍団と適う相手では無くなっていたし、デマルガーを回避していた。一方デマルガーも心得ていて、無限増殖タイプの居るメバチックには、敢えて攻撃はしなかった。ただ自分の存在を誇示するが如く、特級レベルの怪物達を次々と屈服させて行くのである。もう目前にデマルガーがこの生体系の頂点に立つ事は近いと思われている。しかし、そのデマルガーにも姿の見せない敵が襲って来ていた。その分厚い装甲に近い皮膚も何度か切り裂かれている。
「ぐ・・まただ。何かが我を攻撃している」
はっきりした言語であった。メバチックから言葉を吸収したようだ。




