どちらが先か
「ふふ、鋭い所をついて来たな、優。流石に我が孫じゃわ。ここで、沢木 純として孫の三木 優に話をする。その競争心と言うのは必要じゃろう。それを無くしての成長は無い。しかし、その結果を評価する事は無い。何故なら、目標とは自分が決めたものであり、そこに最終到達点は無いと言う事じゃ。テストで満点を取った。それが到達点か?違うんじゃよ。それは単なるその時の熟知度が勝った者がその位置に居ても、人はそれぞれ修練度も違うし、速度も違う。個性と言うものが存在するのに、また後からそこに到達する者に対し、現時点において優劣をつけるのは、間違いなんじゃよ」
「ははあ・・言われる事は、そう言う社会で常に生きて来た人間だからこそ、争う事は競う感情から発生し、ねたむ、そしる、裏切る、騙す等負の感情によって、足を引っ張って来た社会を否定する訳ですね?」
「否定はせん、それも人間だと言う事だ。だが、その感情はそう言う競争心を煽る、例えば成功し、上位に立った者が追い落した者達の上に君臨し、益を受ける。そう言う社会を作って来た。その社会は確かに同じく並ぼうとする他者に攻撃をすると言う事になった。だが、そこで、この競争心と言うのは実は必要なもので、向上心と言うものが、人が発案をし、発明をし、文化を創って来たんじゃよ」
「成程・・言われる事の本質が分かって来ました。そう言う目的と言う、また希望と言う方向性を常に課題・目標に掲げる事によって、眼を向けさせると言うんですね?それこそ、自分達が存在する理由では無いかと思って来ました」
「良く言った、孫の優としてわしは誇りに思う。そうなんじゃ、わしは助言する為に電脳として存在するが、また記憶媒体としてこの現世に居るが、お前達は違う。この地球と言う惑星を、正常なものにする為にあると言う立場で居て欲しいんじゃ」
「うう・・じいちゃん」
シンの中に、元帥の言葉、そして沢木 純としての祖父の言葉・・優はこれこそSKIがこの世界にあると言う事なのだと感涙にむせぶのであった。そして、現世に居るトップ11の中のトップ5はその役割を担う存在なのだ。SKIは元帥脳の時にも常に一歩を引いていた。助言はする。しかし、思考し導いて行くのはお前達なのだと。主体性のある優達が先導せよと言う事をSKIが明言したのである。その自主性が求められるのであると言う事を。




