どちらが先か
完全とはまだ言い切れ無いコウタだが、非常に柔軟な考えを持っている。すぐ、その右馬の提案を受け入れたのであった。それから、旧エフゾーン住民の血液や資料をすぐ調べ始めた。彼らは非常に従順であり、温和でもあって、すぐ現生活になじんだし、エムゾーンに移動したり、ドイツ基地にもある程度住民を受け入れるスペースがあって、各地分散にはなるが、それぞれに地区リーダーが巡回し、そこで生活をしている。その中から注目するサンプルと言えばおかしいのだが、二人の住民カルテと言うのを作成している。それを今は、端末もあり高速分析出来る機器も揃っている。それをすぐにサネアツの所に持って来た。
コウタは、サネアツを非常に尊敬しており、とても自分の比では無いと常々言っている。
「ふむ、コウタ博士。良く見つけたね。この遺伝子は確かに突発性的な素子と名付けているが持っている。つまり、この素子とは我々が持つ不老不死と同じものなのだよ。ワクイ型と言うのもあるが、幾種か今はある事が分かって来て、その中で自爆型と言うのがワクイ素子なんだよ」
「そこまで分かって来ているのですか、サネアツ博士はもうこの道の最先端学者ですね」
コウタが尊敬の眼差しであるが、サネアツは、
「いやいや、この道と言えば、麗華、美恵子君達に聞き給え。具体的にどうするのかを恐らく培養・分析をしてくれるだろう。どうにか旧時代の改良ではあるが、機材も揃って来てね、野外活動も今は盛んにシンゾウ司令官がやっている最中だよ」
「そうですか、では、ヒントを下さい。この素子は旧エフゾーンの住民の改善に有効でしょうか?」
「コウタ博士、君はそう言う方向性で調べていたのだろう?ああ・・有効かも知れないし、我々の持つ素子が一番良いとも思っていない。ただ、金属素子に置き換わっている我々は、これが究極の姿では無い事も常に思っていてくれよ」
「はい」
今の人類型は、4種とここまでも言って来ているが、コウタは統一したいと思っているのだ。その先がやはり人間がこの地球上に復活出来る基礎となると思っている。それはSKIも同じ方向性を求めていて、旧地球には有史以来から人種の違いや、民族的な慣習や、主に食と言う課題に相手から奪うと言う手段によってしか得られなかった紛争が延々と続いていた事に対し、この先を憂うのは当然であろう。その為に人類は間違いであった事を、何度も死と言う学習によって学んで来た筈なのだ。しかし、有史以来それが尽きる事は無かった。ワクイが答えを出した。それは不可能であると。知能を持つ限りそれは避けられない事なのだと。SKIも、それは正論なのだとまさかの同意をした事もある。だが、こう言い直したのであった。




