第1章2節 自分達と同族か?
そこに親子関係と言うには、恐らく現地球では異質なものになってしまうのだろう、シンゾウと暮らした日々が彼女を少なからず変えていた。他の怪物共は、自己繁殖する個体が殆どだった。或いは、切り刻めばそこから無限大に増殖する種も多い。それはシンゾウの父シンが活躍していた存命の時代に、その時開発された増殖再生細胞をワクイが再び地球に持ち込んだからだ。そのシンからワカナが聞いた事があったのである。彼女の生きているのだと言う実感こそは、またその義父と短い時間であったものの、過ごした対面による会話や、彼から学んで来た事がそれこそ現実なのだと彼女は、今は思うのである。そして何より自身が産み・・*これは、本来の子を授かったと言う形態とは大きく異なるが・・その子供達が確かに居る、母として何を為すべきか、育てる事は言語だけの指示では無いのである。そこには感情がある。崇高な愛があると彼女は学んだ。確かに知らない事は無数にある。このワクイが言う定理や、彼の言う理論を否定出来るものは無い。彼女は、現実の世界を十分には理解出来ていないからだ。しかし、恐らく類まれなる知能と、彼女独特の能力によって吸収してきた存念は、正誤は別としてもこのワクイの存在は異質だと思う点なのである。
*後記します(とてもユニークなもので、ワクイすら驚いた)
*シンゾウと出会う所の記憶まで遡るには、もう少しこの状況が動く必要があるだろう。




