勝利か?否・・予想もしなかった敵が・・
内部から?そして、既にそれは閉ざされた数本のエリアを貫通するように、エフゾーンの上部から2本の井戸のような直通穴が抜かれていた。これが、雄太の言う作戦の一つであった。無音であり、振動もしない。まして、そこには電波による信号も無かった。SIが全く感知する所では無かったものである。例の生物を覚えているだろうか・・それが感車と繋がるとんでもない大発見であり、そしてこの透明遺伝子生体=霊体にも通じる、この世紀において再発見されたものであったのだ。その感車的機能を要する透明ドリルが、分厚い氷の壁を貫いていたのだ。何時の間にかである・・。
SK軍は、それをSI軍戦車が戦地から戻って来た事を情報伝達していた。そして、不自然さはなく、これまでもあった事であるので、残りの一門を開けよと指示したのだった。
SKはこう告げている。
「野に放置していれば、この鉄甲車を食う怪物も居る。我々は戦争を望まぬが、SI軍が攻めてくれば当然防御もするし、反撃も行う。だが、兵士の命は尊いと我々は教えて貰っている。ここは一端捉えた兵士は戻そうと思う」
SIは反論もしなかった。受け入れをする事は、兵力を再編成する上で重要であるし、装甲車を鉄甲車と言うSKの言葉にも、やはりその鋼鉄を食う怪物が居る以上、彼らがそれを奪取してもにわかに使える筈も無いだろうと思っていた。SK軍には確かに重戦車は無いのだ。それに左馬が先に失った戦車を奪取したものの、一度も戦場に姿が見えない。そして、自分達には使えないと言う情報も入っているからだった。
また、しきりにSKは人命の尊さをSK兵団に問うている所からも、その辺の違和感が無かったのだろう。
一門は氷上にいきなり開かれた。こう言う門がやはり複数あった事がこの時知れる。そして、装甲車20台はその門中に・・しかし、そこで、内部にまた反乱があったのだ。300名ほどの人員が中でその兵士達を引きずり下ろし、装甲車に乗り込むと、逆走し始めたのである。
「何!何をするっ!」




