転換の時を迎える
「成程・・催眠ガスか・・これで兵士をコントロールしていたんだな?優」
「はい・・この状況を見ると、このエフゾーンは完全に人心をコントロール出来ていないですね。つまり、催眠効果で掌握していたのでしょう。なら、ここは殺し合いの舞台ではありません。恐らく、このエフゾーンには隠れ通路がある筈です。SIは左馬将軍を護衛にして、ここから一端第二基地に向かう筈です。その間に催眠ガスには、それと同時に音響によっての効果もあり、兵士達を沈静化させるのでしょう。でも、もう遅いですよね。この策はこちらが一歩上だ」
優が言い切った。それは、先に捕虜にしたSI軍の兵士達は非常に従順であり、危険な思想を持った者は居なかったのだ。そして、進んでSK軍に協力する者が多数居たのである。将軍でさえも、まるで夢の中に居たように自分が何をしていたのかも分からない者が居る。これは?・・と思い、優は先に仕掛けていたのだ。捕虜を戻す時に、SIに感ずかれないように、或る仕掛けをしていたのだ。それがこの内乱勃発の戦略的要旨であった。
そして、SIの移動通路もSKには正確に伝わって行く。
「大体分かった・・エフゾーンの248地点にアカネ旅団を向かわせよう。ここは地上2000メートルの岩山がある。そこの中腹に、SIの本陣と言える指令室があるようだ。入り口、出口は共に4か所。先に2ヵ所を崩壊させよ」
「はいっ!」
SKはその判断処理スピードをもうSIを上回る速度に達していた。いよいよSKIが完全復活する寸前の段階まで来ていたのだった。




