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者々共出会え!  作者: 白木克之
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逆説の論理

 津波は一波では無かった。次々と雪山は音を立てて崩れて行った。波はごおごおと音を立て、エフゾーンの塔にぶつかって行く。そして、この塔は何重にも外核があって、とても頑丈な造りなのだが、その外膜の2つの壁が壊れて、水没の危機に陥ったのだ。もともとここは雪山に囲まれた盆地である。地下にその水を排出している幾つかの地下水路が満杯になり、その水が周囲の湖の水位を上げ続けているのだ。


「地下の、Hゾーンに移動せよっ!」


 そこは、SIが一番重要な施設のある場所だ。その中でずっと生活をして来た所になるが、そこでも予想外の事が起きていた。


「Hゾーンの通用門の一つが壊れていますっ!」

「至急、修復班を・・しかし、何が起こったと言うのか」


 だが、SI軍もやられているだけでは無かった。とうとう、海中にて『龍の巣』に水中ミサイルが撃たれたのだった。


「発射の兆候は確認していたが、今発射された模様です。数十発になると思われます」


 待機していたのがSKとサネアツだった。勿論サネアツにはケンシン脳がある。更に雄太が先に指示をしていた。迎撃ミサイルである。この時代にこんな高等な戦力があったとは、それこそ、ランが組んだプログラムをケンシン脳が具現化したものだ。


「良し!こちらも撃てっ!迎撃用と攻撃用だ」

「はいっ!」


 こうして、陸上はおろか、水中にても戦闘が開始された。これはSI軍とSK軍が初めて衝突した大規模なものであった。

 30発の水中ミサイルが、『龍の巣』に向かっていた。しかし、この場所はソナーでは決して分からなかった。ワクイでさえも、特定が出来なかった場所故に、ここまでもデマルゴンの攻撃もあったが、その近くの海中洞窟は確かに攻撃された。もう少し詳細に言うならば、この地は例の鉱物や、地層的に磁硫鉄鉱層が分厚くあって、そこでは磁気の乱れがある。そして、方向感覚が狂うのである。そして硬い岩盤は容易には砕く事は出来ない。海中からの唯一の到達方法は地下湖しかないのである。途中の海中晶洞は無数にあるし、洞窟も多いものの、『龍の巣』に至るものは皆無なのだ。かろうじて、30センチ程の幾本かは通じていても、そこを数百メートルも掘削でもしないと無理であった。


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