第1章 俺達って何者?
と・・と言う事であるらしいが、そこまでは、全く二人にとって訳が分からない話なので、もう考えない事にして話は続く。シンタは、結構思慮が深いものの、アカネは何でもめんどくさーいと言って、深く考えないタイプの女の子のようだ。ちなみに、この二人に年齢等はあってもなくても関係も無い話なのだ。二人は何度も怪物に食われ、その度に再生して来た。つまり、その都度新しく生まれ変わっていると言う判断も出来るのかも。
更に言えば、不死身の体は、母方の祖父ワクイの遺伝子のようだし、血の繋がりも無い筈の父シンゾウもやはり地球上に今存在し、わんさとはびこっている怪物達と同様に、不死身の体のようなのだ。また彼らが出会う殆ど全ての怪物達が、全て不死身とは言わないけれど、ある程度はそのタイプも個々に違うものの、形状記憶合金のように、ある急所を破壊されない限り、再生される生き物達なのだった。そして、その急所を外し、無駄に傷をつけたりすると、とんでも無い化け物に変化するタイプも多く、とてもやっかいな相手だと言う事も分かって来た。
ところで、何でこの弱肉強食の世界へ二人の孫が置き去りにされているのだ?と言う話になるのだが、パパリン事=シンゾウの祖父シンは、シンタ、アカネをとても大事にしてくれたが、母方の祖父ワクイにはそう言う感情が一切無いんだよと、父シンゾウが歯がゆそうに言っていた事もある。何にしても、へたれだよな・・と、少し自分の父を悪く言う訳では無いが、頼りに出来ない父シンゾウが傍に居ればこそだが、デラルクに食われてしまったようだから、こうして何も情報を与えられていない二人は、行き当たりばったりで動くしか無い訳だ。二人は、とにかくママッチを探して旅を続けねばならないのである。だが、ワクイ祖父が母ワカナに与えてくれた唯一のプレゼントであるこの乗り物『*感車』に乗って、自給自足の生活をするしか無かったのだった。食料の調達は、父・母が今までやってくれていたから、今は自分達でそれを取得するしか無い。動けば腹が減る。これは生命維持の根本的法則だ。
*後で説明が入る。
そして、シンゾウが言うには、そのワクイが地球上に残した再生成物であり、遺伝操作された異質の化け物達が無限増殖し、地球上を今席捲している事を嘆いている状況だったのだ。
彼らは、今の目標としてはとにかく母ワカナを探さねばならなかったのだ。そして祖父ワクイを見つけたら、自分達が居るのに、その母を連れ戻した事に、文句の一つや二つも言ってやろうと思っていた。俺達はあんたの孫なんだぞ?父方のシンじいちゃんはとても優しかったけど、お前はどうなんだよと詰め寄って聞きたいのだ。ただ、ワクイがどんな姿をしているのかも分からなかった。