逆説の論理
「あたいは、もう守勢ではいけないと思うんだよ。相手のSIは今大混乱している事ははっきり分かっている。だって、一本の道しか無い相手は、不規則に柔軟な奇策もあり、正攻法で攻めたりしない相手には、幾ら多勢であろうとも、それに対処する為軍を分けないといけない。正確にはSI軍の兵隊数は49008人だ。工作班、他、エフゾーンには89675人が住んでいる。平均年齢は100歳を超えている事も判明した。それは、ここ20年で人工授精が上手く機能しなくなって、この数年の出生数は、たった245人だ。そこで、衰退の一途を辿る事に危機感を覚え、エムゾーンに照準をあてた。そこにはまだ生命が宿り、次々と出生をしている事を知ったからだ。SIはこっちのSKの存在も知っているが、まずはそこを陥落させ、その生命維持法を奪取しようとした。戦争の目的はそこにある。SIはワクイを危険と見なし、一部の情報は得たものの、取り込まれる事を恐れ、当時のシン軍団は自分達が攻撃をしない限り、反撃もしない事を承知していたんだ」
「だな・・それが、ここまで経緯だ。しかし、こちらの提案も拒絶したSIは攻撃目標をこちらに切り替えた。その根本には、やはりそのT国思想があり征服すると言う根本原理は否定出来ないからで、SIが幾らSKIの分身とは言え、全てでは無かった。つまり、政治、科学、医療、民族、経済と言う中で、経済のみの部分しか受け継がなかったからだ。そこには確かに軍略もあるものの、一つしかない。つまり、正攻法しか無かったと言う事だよな」
「相手は、人間の何万倍、何十万倍もの記憶容量もあり、判断も早いけど、そこに恐らくSKにあるような人格は無かったんだよね」
「良くは分からん・・しかし、今その辺のAI同士の戦いが起こっていると言う事は確かだ。スマ・・お前の戦闘力や内に秘めている能力は、ここに居るケンゾウや、リンドウにもひけを取らない。だが、常に元帥は今も俺達に言う。慢心しては駄目だと。どんな完璧な作戦であっても、またお前が圧倒的な力があろうとも、そこには常に穴がある事を忘れるなと。そう言う事を教えてくれるのがSKなんだよ。ララ・・今話合った作戦や、自分達の今後の立ち位置や考え方を、SKに伝達して見ろ。俺は、その考えは良いと思った」
「はいっつ!」
こうしてシンゾウ司令官は、この軍議をララによってSKに伝えたのであった。
重大な作戦の中身はまだ明らかにならない・・。




