逆説の論理
そんな情報がSKに入っているのだ。これは寸刻も途切れる事無くだ。その間、SIにも情報的なものは入っているが、かなりその情報に疑義をもたらすものが最近になって増えていると言う事実がある。
それから間もなく、今度はSK側からある情報がもたらされたのだった。
「何っ!SK軍の中でも幽霊騒ぎが起こっていると?」
SIは懐疑的な声を上げた。
報告したのは、諜報担当の優秀な美泉と言う技術系の者だった。
「はい、最近あちらでも、弾薬や銃剣等の保管庫が荒らされているそうです。しかし、こちらと同様に犯人の正体不明とかで、内部犯行説が沸き上がっているとか」
「それは、或る意味チャンスではあるな・・しかし、幽霊とは・・ふふ」
「あの・・何かおかしいのでしょうか?」
「美泉君、そんなものが実際に存在すると思うのか?君は量子学も熟知している筈だ」
「はあ・・」
美泉は首を傾げている。SIは、
「つまり、物質でもない粒子でもない所から、誘導放出の原理でレーザーを発生させている。つまり、全ては科学的に計算式で表す事が出来ると言う事だよ。ところが?幽霊、霊魂等と言うものがその計算式で表せるかね?つまり、こんな量子力学すら知らない者が、恐怖に怯え、神だの、幽霊だのと存在を有るが如くに吹聴し、権威を象徴する儀式に用いられたものだ。そんなものは夢想に過ぎない。既に私の時代には完全に否定されていたのだよ」
「成程・・そうですか、じゃあ、やはりSKと言うのは旧型のAIであると言う証明では無いのでしょうか」
「ふむ・・だ・・ね。ここは、やはり攻撃をかけるべきだ」
こうしてSI軍は、今が有利と見て戦闘態勢を敷くのであった。




