逆説の論理
SI軍が、最近になり内部で攪乱されていた。確かに何者かが存在する気配に悩まされていると言う事だ。SI軍にはSK軍と同様な司令官、軍隊長等の階級が存在し、規律も一定にあるので、そこで内乱が起きる体制では無かった。それは流石にSIが仕切っているし、幹部も優秀な者達ばかりだった。
ここでもSIを中心にした軍議が行われている。SIも人間体である。今まで機械的なワクイ型を想像していたが、凛々しい青年の姿が中心にあった。何故そんな事が分かったかと言う事も、次に明らかになって行く。
「格納庫の数か所に、無断で誰かが入ったと言うのか?管理責任者は、李白であったな」
「はい」
「どう言う管理体制であったか・・36時間の様子をしばし検証して見よう」
そう言うと、やはりここでもパネルにその格納庫の36時間の様子が早送りで展開されて行く。
すると・・
「む・・格納庫に何者かが侵入したと言うのは確かのようだな。レーザー銃の幾つかが微妙に位置がずれている。しかし、この管理兵が触れた形跡はない」
李白が呼ばれた。
「李白、君が担当する格納庫は、36時間内に誰かが入ったのか?」
「いえ、B棟には誰も数日内に入っておりません」
「ふむ・・君の言葉に不合理な点は無い。一体・・」
幹部である、仙賀副司令官が、
「地上では色んな種の怪物とSK軍が呼んでおりまして、我が方もそう呼びますが、例えば小さな蟻様の生体であったり、壁を齧るタイプの小怪物が侵入したりする可能性はいかがでしょうか」
「有り得ない事だが、36時間でこの兵器の位置が微妙に変化しているのは事実である。そして、或いは有感地震は無かったように思うが、微妙な設置位置の傾きもあったのかも知れないな。そこまでは私も検証外にある。この格納庫までの設備については、旧式の設備であろうから」




