自己との闘い
「ほう・・足・手の指などの脱損等は再生するようだな。それに、傷の治癒力も非常に早い」
そこには、ワクイの再生細胞が加味されたのだろう。だが、不老不死では無い。彼らは既に200人以上の兵士を失っている。かたや、SK軍団には一人も失った兵士は居なかった。
「身体能力も高いようですね、当初に捕虜となった120歳の兵士は、Mゾーンで製造担当として任命して、働いておりますが、M兵士の方が断然知力も身体的能力も上です。今回のケンゾウ軍の半数はM兵士達ですからね」
「で・・どうする?ケンゾウ軍に加勢するのか?SI軍団はどんどんと新戦車を送り出して来る。無尽蔵に近い程あちらには、物資量もあるようだしね」
雄太が優に聞くと、
「今サネアツが、こちらも新兵器を開発したようだ。雄太・・お前はラン軍団長として、一度戦って見てくれないかな」
眼をくりっとした雄太だった。
「おっと・・軍師を最前線に出す?有り得ないな、そんな奇策は・・あははは」
雄太は笑った。確かに軍師が最前線に出るなんて言う事等歴史上殆ど無かった。しかし、この雄太はあのランと融合しているのである。優は、シンと・つまり、この二人は、とんでもない身体能力と知能を有しているのだ。SKは許可をした。
「やって見ろ。恐らくSIもそんな奇策は予期もしないだろうし、互いの手の内は見えて来はじめた所だ。将棋で言う千日手を、今行っている最中なんだ。物量で負ける我々は、レジスタンス的戦いを余儀なくされるが、兵士の力量は遥かにSI軍団を凌ぐ。負けない戦いと位置づけているのは、SIも負けない商売をやって来た天才企業家だからね、しかし、こちらは不老不死があるし、どうやらコウタ君が新たな遺伝子医療を開始しているようである。色んな事は進行しているのだ。こちらの設備もサネアツ君が相当改良し、機械も開発してくれた。ここで、まさか『龍の巣』の研究室の旧装備が役に立つとは思わなかったよ。それに、『龍の巣』周辺は、相当に修繕・修復も行い、アカネ軍が守備を担当してくれている。ここには、何度も水中ミサイルの攻撃を受けたからなあ、これは強化しか無いのと、深海鮫バルー群を相当数こちら側に引き寄せた事も大きい」




