第1章2節 自分達と同族か?
「か・・お前もやっぱり普通じゃねえよ。ふふ・・でも、分かった。おい、お前はどの程度水の中に潜って居られるんだ?ひょっとして、お前は眠っていた方が長い事水中に居られるのかもな、リンドウ」
「分からねえよ、俺にはさっぱりさ」
リンドウは両手を広げるのであった。アカネにはそんな会話など、どうでも良さそうだった。
「とにかく潜るわよ!眼の前に『ガラーク』ってこいつも悪党顔をしているっぽいから、あたいは行くっ!」
ザブーーーン!アカネは思い立つとまず行動が先に立つ。
「あ、おいおい!どんな敵かも知れねえのによ、俺も行かなきゃ!」
そう言ってシンタも湖の中に、リンドウも続かざるを得なかった。こいつらは無謀だと思った。しかし、この『ガラーク』を倒さない限り、前へは進めない気もするので、リンドウも覚悟を決めるのだった。ざぶーん・・3つの波紋が湖に起きた。彼らは恰好の餌だ。それも眼の前にまるで食ってくれと現れたのだ。ガラークは鰐に似たような姿形であり、それを3周りでかくしたような推定10Mは軽く超える怪物であった。その動きも水中では俊敏だ。幾ら身体能力が優れていると雖も、シンタ達に水掻きや、尾びれ、手びれがある訳では無い。当然すぐ眼の前に『カラーク』は迫って来た。アカネが先に飛び込んでいたので、狙いはアカネだ。しかし、シンタはその『ガラーク』の背後に回り込むと、リンドウは右側面に大太刀を・・これは水中では何と、でかくなるようだ。『ガラーク』の後方に居るシンタがそれを見届けると、アカネが今にもその大口に飲み込まれようとしているのに、ソードの一撃を見舞った。ガガン・・それは水中においても激しく金属にでも触れたかのような大音響ともなって、いきなり背後から襲われた敵に向き直ると、今度はアカネがその頭の後ろにサーベルを突き刺した。しかし、それも左側面の硬い鱗に弾き返された。今度はリンドウがその右横の一本の牙に一撃を加える。こうなると、ガラークは3方向からの一斉攻撃にはくるくると大きな水の輪を描くように回り防御態勢をとった。それはまるで竜巻のような渦となり、3人を翻弄するのだった。流石に強敵だ。
「う・・こいつ・・暴れやがる」
3人はその渦中では息が出来なくなった。有効打はこれでは打てない上に、弱点も見いだせない中で、アカネが今度は、3人の中では一番泳ぎが達者である事を証明するように、渦の中から飛び出して『ガラーク』と距離を取ると、その大口を目掛けて、突進する。




