勃発その1 驚愕の真実に
「そう言ってくれる君達だからこそ、この感情と言う部分については、誰もが完璧にコピー等出来るものでは無いんだよ。ワクイも自身でそれを削除して来たのだ。分かるね?そこの部分は。泣いてくれる君達の気持ちは嬉しい。私も同じ気持ちなんだよ」
元帥も泣いていた。この感情があるからこそ、元帥はSKIと共鳴している事を告げているのだが、今はこの事はここでは省く。
「ようやく、コウタのその再生と、孔明脳って・・ひょっとして・?」
シンが言いかけたが、元帥は、
「シン君、君の先読みは、ある意味において危険的領域に行く事もある。その言動は私からも少しアドバイスをしたいが、飲み込みたまえ。今はその段階では無いのだよ。分かるね?」
「は・・い。すぐ思った事を言う前に、もう少し吟味して喋ります。済みません」
アマンも静かに頷いた。そこまで今の段階で発想を飛ばせば、元帥がやろうとしている事と、孔明脳が同調している事になる。つまり、どちらかが支配されているのでは無いかと言う疑心暗鬼が生まれるのである。これが人間感情なんだと今元帥が言ってくれているのにだ。それこそ、シンらしい人間性なのであるが、元帥を微塵も疑わない純粋な気持ちは、ここでも同じである。不動なのだ。その原点に立ち、彼らはシン兵団を新な強敵に対して、スタンスを持たねばならないのである。
もう彼らは、ここで元帥の考えに何も反対する事は無かった。そのコウタ再生には、ワカナとアマンが協力し、既にエムゾーン内で再生・整形作業が始まっている。もう一つ言うが、コウタ再生体は、ワクイの飛機内だけでは無かったのである。ドイツ基地内にもう一体あったのだ。その秘匿情報も、この時元帥は披露している。疑いの心は誰にも起きる。そして、元帥は自分もそうであると言う。彼らを全面に信頼をしていても、やはり人間的感情はその強い精神力で、打ち消す事が出来る。もっと言えば、もう既に元帥は、後年誕生しているSKIの電脳にこの時吸収されていたと言えば驚くだろうか・・だが、それはもっと時代・科学が発展し、その複雑な社会的環境を知るが故に、その当時の孔明と言う軍師がいかに天才であり、先見的思考を持っていたとしても、その時代に居ないのだから、現世に近い知能や才能に委ねる部分を必然的に選択せざるを得なかった。しかし、今シン達と語っているように、山本五十六と言う元帥は、しっかりとこのように生きているのだと言う事を忘れてはならない。




