戦術を駆使する強敵
「いや、もう戦いは回避できない。何故なら、そうなるべく世界をワクイは望み、地球での生き残り戦術が消える事等は無いんだ。戦う事をしないで済む?そんな夢想な考えは、この世界には通用しないんだよ、シン君、シンゾウ君」
「元帥・・貴方程の方がそこまで言い切りますか?」
シンとシンゾウが、眼を丸くした。
「思想・・これは、ある一種の縛りである。そして、メインAIによって教育された何世代もの人の心を変えるのは容易では無い。つまり、私が飲み込まれるか、或いは飲み込むかなのだ。戦いとはそう言うものである事を、今言った」
「それ程・・踏み込んで居ると言う事ですね?既に現時点で、そのバトルはあると言う事を言われているんですね?」
シンゾウが言うと、元帥は頷いた。
「こちらの存在は、もうどちらのゾーンの者にも知られている。者と言うか、実質人間生命体を動かしているのはAIだ。どちらも、私より最新式である。とは言え、ケンシン脳がかなり機能しているように、ワクイの電脳は確かに自分の思想以外の部分で改良されている。ケンシン脳・・このケンシンと言う技術者は、シン君時代の天才技能者で発明家であった訳だよね」
「はい、医学、遺伝学では同じくその電脳をワクイに取り込まれたコウタも、当時天才と言われていました。その電脳をワクイが取り入れた事で、彼が地球脱出当時以上の能力をアップさせていると思います」
「だね、確かにそれはそうなんだが・・この発明と言う部分で、孔明脳が少し反応している部分があってね。今現在も、こうやって司令官・副司令官の君達と話をする中においても、寸刻を言わずに情報は入って来ているのだよ。私は365日、24時間この脳が休む事は無いのだから」
シンが憂い顔。
「そう言う事を言われますと、少し心が痛いです。俺達も何か出来ないものかと思っているので」
「はは、有難う。君達を信じるからこそ、私は何時でも嘘偽りのない本音でこうして喋っている訳だ。機械でありながらも、私は人間山本五十六でありたいからね。これが出来るのが、このシン兵団なのだから」




