戦術を駆使する強敵
南極には、とうとう高さが200Mを超える塔が地上に現れた。周辺の分厚い氷が解けて、周囲にはその塔を囲むように、青々とした湖が出来ていた。塔周囲は実は今も溶けずにいるが、ここは平たい盆地になっており、まだ数か所から煙が上がっているが、黒色の石炭層がその地面を形成していた。元帥の推測では、相当数燃えてしまったが、厚さが200メートル位はあるだろうと言う事だ。その石炭層の強度はともかくとして、塔はその水平面の高さから200メートルあると言う事で、その湖を更に囲むように、その塔の地面から1000M級の山岳が連なっているのだ。
「これは、太古に南極に衝突したクレーターのように見える」
確かにまだ分厚い氷の壁が周囲に残っていて、それは数億年の極寒の世界のもの、簡単にその氷の層は解けないだろうが、湖はどんどんと大きくなっているし、その湖から、地下に流れる川があるのだろう。塔周辺を水没させる事は無かった。その観察をする中で、とうとうここにも人類型の生命体が存在する事が分かったのだ。つまり、中国における軍部の子孫と思われる。
「解せない・・」
元帥がシン、シンゾウを呼んでいた。既に調査は進んでいて、ワクイの再生人類は別として、この地球上に二種の人類系統群が居る事が分かったのである。それも片方は強力な兵器を具備しているらしいのだ。
「南極基地をエフゾーンとし、ゴビ基地をエムゾーンとしましたが、エフゾーンからエムゾーンへのミサイル発射兆候ですか?同族の国同士の争いとなる事に対するものでしょうか?」
「そうだ。ワクイが仕掛けていたとしたら、むしろ、脅威と感じるエムゾーンが防御もしくは、何等かの対策をしている筈だ。ここには稀世の軍師と言われる孔明脳があるんだからね。そして、我々にはまだ見せていないものの、怪物を倒せる武具程度は十分持って居る筈なんだ。製造工場もあるからね。それに対して、エフゾーンでは最初からエムゾーンにミサイルが配置されているんだよ。彼らがこの長い間の沈黙を破り、今行動に出ようとする不理解だ」




