驚愕のプロジェクト
「その時には、その地下通信路を利用していなかったと思われる。以前、君達の仲間がゴビ砂漠上に大きな穴を掘っただろう?それが要因で、彼らは相当警戒した模様だ。明らかに、日本と言う国がまだ生き残っている事を知った彼らは、露国に移動したんだよ。そこに大蛇が出て来たんだよな」
「ええ・・北海道ルートから向かった時でした」
「大蛇については、様々な説があるものの、実際に日本のドーム周辺や、この地点、現在においても殆ど容姿の変わらぬ姿で出没した。しかし、戦闘的に見ても、そう高くはないので、いずれも撃退されてしまったが、ここで、この大蛇とは一体何かと言う事になる。単なる長生きの巨体では無いと思われる。アマン君、君の見解は?」
アマンは、少し考えてからこう答えた。
「つまり、実験体であった可能性の方が高いのではないかと。栄養価については残念ながら検証されておりません。凡そ人類の歴史の中で、蛇を養殖して食べると言う事は殆ど無かった筈です。しかしながら、大型種になると50年以上生きるとは聞いた事が御座います。ただ、残念ながら大型ミミズを養殖はしておりましたが、蛇までは・・」
「蛇はアミノ酸などが豊富で、実は美味しい食材なんだよ。第二次世界大戦時、食糧に枯渇した現地では食べる事も多かった。食糧事情と言うのがあるんだろう。当時の世界は化学物質に汚染され、それまで食されて来た野菜等も、多発する新種の病原菌によって地表での栽培が難しくなった。よって、地下栽培、植物工場のようなものがどの国でも盛んに行われるようになると、蛋白源になる動物も同じ事だ。その動物を飼育するのには、やはり植物等も与えなくてはならない。人類の生殖機能が衰えたのは主に環境ホルモンの影響が大きい。つまり女性化だよな。君達は、その人工生殖における世代になる。シンゾウ君をここでは除いてね」
「じゃあ、その為の大型化の実験体と言う事ですか?しかし、それは余りにも飛躍しているのでは?」
アマンが反論する。
「ふむ、その反論もよろしい。確かにそう断定出来る程の資料は不足している。だが、この猿人と言うか、もはや人類型に非常に近い、知能も高い個体は一体何を主食にしているかと言う事だ。当時のような擬ガジュマルの木のような栄養価の高い果実は、一部地上にはあるが、彼らのこの生息地には無い。その上で、不毛に近い大地に道具まで持っている事を持って、恐らく地下には何等かの貯蔵庫、栽培室、或いは施設まである事は明白だ。そして、孔明脳が存在する。これは、今から画像を見せよう。シンゾウ君も、スマ君と同じくこう言う能力を隠していたんだね、君も奥ゆかしい人物だ」




