現れた存在その1
元帥は、少しほっとしたようだが、いつもより相当にその顔は厳しかった。
ここはシンゾウ・・副司令官らしく、
「感車を使用しても良いですか?元帥」
しかし、元帥は首を振った。
「いや、シンゾウ君。シン君の『潜水艦大和』には、今は感車が必要だと思う。こちらのエネルギーの事なんだが、猛烈な勢いで地上にせり上がりつつある。『潜水艦大和』までは、幾ら感車が並列設置とは言え、光速移動は不可能だし、もしもの時は『潜水艦大和』を放置し、感車で逃げよと指示も出しているんだ」
「え・・それ程深刻で急な事だったんですか!」
シンゾウが驚くと、全員の顔が凍った。
「何があるのかは、私も読めないんだよ。しかし、先ほどケンゾウ君が言った様なある意志の仕業なのだと仮定したら、この膨大なエネルギーを『潜水艦大和』に受ければ、我々等ひとたまりも無いだろう。これが天変地異における、例えば火山の噴火であるとか、その予兆であるとかであれば、ある程度の想定は出来るのだがね・・」
「違うと・・いや、何かの莫大なエネルギーが暴発するかも知れないと?例えば核とか」
アマンが血相を変えて言う。
「シンゾウ!滅多な事を言わないで!核は確かに南極の地下に埋められた。しかし、起爆装置も無いのよ、今は」
しかし、元帥は冷静にそこの部分については、言う。
「アマン君・・それを否定する検証は出来ていないのだよ。だが、最悪そうであれば、人類が発明した最も愚かな武器が、この地球を今度こそ完全に滅ぼすだろう。数年、いや数十年生き延びたとしても、不毛な大地と少なくても不老不死の体だとは言え、摂取するエネルギーが無いとなれば、怪物も私達も動けなくなるだろう。それがこの地球上に今棲息する全てに当てはまる。それがこの放射能と言うものでもあるし、地表、海においても現生物、生体、植物も含めての最後の滅亡となるだろう」




