現れた存在その1
「そうだね、シン司令官の『戦艦大和』に関しては、そう心配もしていないのだが、リンドウ君の調査地点にも、最近何か動きがあるようなんだ。ただし、今すぐと言う事は無さそうに考えてはいるんだが、少し気になる点がある、急激にこの地域・・つまり、君達がゴビ砂漠と言う場所には怪物達が集結しているんだ。ここにはデマルクの残した大きな花畑が3つあり、その中では最大のもので、新種・と言っても全て私の時代から考察すれば、全て新種になるのだが、巨大な木が育っている。そこに実が成ったんだよ。その果実をどうやら食する為に怪物が集まって来ているらしいんだ」
ケンゾウは先読みの出来る鋭い男だ。元々植物等の学者でもある。
「それは、もしかしたら、栄養価の高いものであると思える点と、もしかしたら食虫植物のような木である可能性は無いっすかね?」
「うむ・・良い所に推察が入ったね。私は、それが意図的に罠のように怪物達を集合させているのでは無いかと思っているのだよ」
「つまり・・そこには意図のある存在があると言う事っすか?木自体もその対象であると?」
「おっと・・ケンゾウ君、君は推理力が強いな。しかし、まだ確定では無いのだが、どうやらワクイの残した言葉の中で、旧南極とこのゴビ砂漠では、何等かの異変があると思えるんだよ」
「じゃあ、かなり深刻な現象じゃないですか」
その言葉に、やはりアカネが食いついた。もう立派な大人の女性である。既に孫まで誕生しようとしている、ケンゾウ・アカネ系統の一族の長であった。夫婦で、特にこの所シン兵団の中心的役割を担っている参謀の一人である。
「あたいは、メバチックにコンタクトを取って見た。遠巻きに怪物達をリンドウに近づけさせないように、今は何とか協力してくれているみたいです。ただし、*既に彼らはコントロール出来る存在ではありません。相当な知能と行動力を持っているので」
*すでにシン兵団とは、直接の敵では無いが、こちらは既に一種の人類型進化を遂げているのだ。道具も使用するようになっているし、住居も構築している。つまり、原始時代の人類に匹敵するようになっているのである。
「おう・・アカネ君は、裏でサポートをしてくれていたのだね。頼もしいよ」




